2024年4月2日(火)、フランスで消費される電力のうち、再生エネルギーの割合が昨年初めて3割を超えました。これは政府が風力発電、太陽光発電を大幅に増やす方針を打ち出し、その建設が進んだ当然の結果ですが、欧州各国にはまだまだ後れを取っているようです。
フランスの再生エネルギー発電量、対前年23%の大幅増
2023年の再生エネルギーによる発電量は135TWh(テラワット時)を超え、前年2022年より23%も増えています。
再生エネルギーの内訳をみると、ダムによる水力発電が依然と大半を占めていますが、太陽光発電や、特に風力発電が大幅に伸び、初めて存在感を出しています。これは、ブルターニュ地方(Bretagne)のサンブリユー(Saint-Brieuc)およびノルマンデイー地方(Normandie)のフェカン(Fécamp)沖に建設された洋上風力発電機群の貢献によるものです。
とはいえ、風力発電は50TWh、太陽光発電は21TWhと、原子力発電の320TWhには到底及びません。
フランスの全発電量の3分の2を占める原子力発電ですが、数年前から原子炉のメンテナンスなどでフル稼働していません。
再生エネルギー利用、地方ごとの気候を生かし
北フランス、オ=ドゥ=フランス(Hauts-de-France)地方はフランス全国で最も風力発電機が多く設置されていますが、西フランス、ヌーヴェル=アキテーヌ(Nouvelle-Aquitaine)地方は、全国一の太陽光発電を誇っています。
昨年ヌーヴェル=アキテーヌでは、全消費電力量の13%が太陽光発電でまかなわれました。これはノルマンディー地方やオ=ドゥ=フランス地方の11倍、東フランスのグラン・エスト(Grand Est)の4倍に当たります。
原子力依存のフランス、中間目標達成も欧州平均にほど遠く
大局的にみると、フランスは自国の再生エネルギー移行政策の中間目標をほぼ(93%)達成しており着々と移行を進めています。細かく言えば、風力発電の建設で半年、太陽光発電では1年半の遅れをとっています。
フランスはエネルギー政策を長年原子力発電を中心に進めてきたことから、原子力への依存から抜け出すのは容易ではありません。
ドイツ、スペイン、ポルトガルは5割以上
すでに欧州各国の再生エネルギー比率平均は40%を超えており、フランスは大きく後れをとっています。欧州内でも先頭グループのドイツやスペインはすでに全発電量の50%以上を再生エネルギーが占めています。
一位のポルトガルに至っては、2023年の総発電量の63%を再生エネルギーでまかなっています。
執筆:マダム・カトウ