フランス旅行産業好調 インフレでも秋休みは旅行、ラグビーW杯経済効果も

2023.10.20

モンサンミッシェルモン・サン=ミッシェル(Mont Saint-Michel)(2020年、筆者撮影)

2023年10月20日(金)、インフレで物価が高騰するフランスですが、明日21日から11月6日までの万聖節の秋休みの間、フランス人の38%は旅行に出かけることを検討しています。フランス経済省(ministère de l’Économie)によると、宿泊施設の予約は好調で、この傾向は年末まで続きそうです。

 

フランス旅行産業、今年は過去最高?

今年は夏のバカンスが終わり9月に入っても好天候に恵まれ、10月前半まで例年に比べ気温が高かったことで、フランス人の国内旅行が盛況、フランスの旅行産業の好調が続いています。

フランスの旅行産業は、今年1月から9月までの期間で既に昨年を50億ユーロ(約7,936億円)上回る440億ユーロ(約6兆9,800億円/1ユーロ=157円)の売り上げをあげています。

国内の旅行客のみならず、海外からの観光客もこの好調に貢献しています。

今年は昨年同時期と比べ、スペイン人とオーストリア人、イギリス人が20%増、カナダ人は30%増、ラグビーワールドカップの効果もあってか円安にも関わらず日本人も15%増えています。

 

ラグビーW杯、多大な経済効果、ビールの売り上げも過去最高

残念ながら地元フランスチームは準々決勝で敗退してしまいましたが、準決勝の観戦チケットも1日に500枚以上の勢いで売れ続けています。

特に売り上げに貢献する「スポンサーの継続が決勝戦まで決まっており、会場での総観戦者数200万人に加え、テレビ観戦者200万人、さらにオフィシャルグッズの売り上げも好調です」と、ラグビーW杯2023の運営委員長ジャック・リヴォアル(Jacques Rivoal)氏は喜びを隠せない表情でコメントしています。

メタリカのコンサート超え

会場でのビールの売り上げも凄まじく、パリ会場となったスタッド・ド・フランス(Stade de France)で行われた、ニュージーランド対アイルランド戦では実に13万パイント(1パイント=569ミリリットル)超が販売され、過去最高だったロックバンド「メタリカ」のコンサートでの記録、9万パイントを大きく超えました。

予選が行われた9月、南フランスでは30℃を超える日が続いたせいか、マルセイユ(Marseille)会場で行われたイングランド戦では用意した8万パイントが開場の1時間ほどで完売、ファンの怒りを恐れたスタッフが売店を閉めて帰ったため、観戦者は暑い中、水も買えないという事態が発生しています。そのほか、いくつかの会場でも試合中にビールが完売しました。

 

稼働率好調のホテル、値上げ再び

経済省によると、今年年末までのホテルの稼働率は、夏の好調に続き前年を3%上回っていました。

これはイスラエル=パレスチナ戦争(10月6日)勃発前の数字で、同省は今後の観光客の動向についてコメントするにはまだ早すぎるとの見解です。

今年の夏、すでに宿泊料金は前年比で20〜30%値上がりし、さらにW杯開催の9月は追加で10%値上がりしています。

政府、パリ五輪後の宿泊料金「高止まり」を危惧

同省は、来年のパリ五輪でさらなる値上げが横行するのを懸念し、極端な値上げを行わないよう業界関係者に要請しています。

ホテルだけでなく、短期の家具付き貸しアパート、観光客向けアパート、さらにエアービーアンドビーなどについても、料金の値上がりが顕著に見られ始めたことから、オリヴィア・グレゴワール(Olivia Grégoire)観光担当政務次官は、年末までにこれらを含めた宿泊施設全般の料金動向をウォッチする機関を設けると発表しています。

この機関は、過去3年から5年の価格動向を消費者向けに発信し、オリンピック終了後も宿泊施設の料金が高止まりすることを避ける試みを行います。

執筆:マダム・カトウ

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