フランスでは2月1日(水)より、電気料金が15%値上げされます。
ガス代に続き、電気代も高騰
フランスでは2月1日(水)から、電気料金が15%値上げされます。1月1日にはガス代も15%値上げされたばかりの中、家計への負担は増すばかりです。
値上げによる打撃を受ける世帯は2,000万戸とされ、終わりの見えないインフレが多くの人の生活の重荷となっています。
年間250ユーロの負担増
例えば、電気ストーブつきの100平方メートル(約54坪)の家では、電気代が年間250ユーロ(約3万5000円)上がると予測されます。
ただし定額制のプランに入っている家庭は、契約の更新時まで料金は上がらないとされています。
電気代に上限設定
電気代の上昇に対して、フランス政府は企業や一般家庭に対し、2022年より電気代の「上限額(bouclier tarifaire)」を設定する政策を実行しています。
この上限設定がなければ、世帯への負担はより大きくなるでしょう。
この政策は何度も延長されており、2023年6月末まで継続されると報じられていますが、いつ中断されるか分からないとう側面もあります。
政策の実行による政府への負担は、270億ユーロ(約3億8200万円)とされています。
最も負担を強いられているのは
年金生活者
マルセイユに住む年金生活者のアルンさん(62歳)は、ここ数週間、電気代への心配から、暖房を消して眠っているといいます。
「朝起きると手足の指が凍っている」といい、電気代を節約しなければならない生活に苦しんでいます。
寒さに我慢できず、暖房をつけて寝ると、「次の日の朝は体調が良い」といい、どうにか健康を保つことに苦労している様子がわかります。
アルンさんの年金は月額900ユーロで、1月からガス、電気と続く値上げはかなりの打撃です。しかし、節約以外に対策は見つかりません。
子持ち世帯
マルセイユ北部で6人の子どもを育てるトゥイマントさんにとっても、生活のやりくりが難しくなっています。
トゥイマントさんは、「テレビをつけるのに迷ってしまう」「洗濯機を回すときに、電気のつけっぱなしにしないように気をつけている」といい、最大限に節電を心がけています。
このまま電気代とガス代の高騰が続けば、公共料金を払えない日がやってくるかもしれない、未払い者として見られるかもしれない、という心配が頭を離れません。
牧師連盟による政策提言
このような状況にたいし、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏の牧師連盟代表フランシス・ヴェルネド(Francis Vernède)氏は、ターゲットを絞った経済政策を行い、最も苦しむ人々に手を差し伸べなければならない、と主張しています。
そして、フランス政府にはまだ手札が残っている、すなわち住宅補助金(Aides personnelles au logement, APL)や、連帯富裕税(Impôt de solidarité sur la fortune,ISF)の制度を廃止するなどの手段を実行し、インフレ対策に回すべきだと言います。
また、この牧師連盟は、エネルギー節約による病気に対して、保証金を払うべきだと提案しています。例えば、アレルギー性気管支炎や、関節症、うつ病などが対象です。
執筆あお
参照
JETRO ビジネス短信 「世帯・企業向けガス・電力価格抑制策を継続」(2022/9/16)
JETRO ビジネス短信 「フランス政府、電力卸売価格に上限を設定予定」(2022/10/11)
フランス政府 Salle de presse 03/01/2023 – Aides aux entreprises pour faire face aux prix de l’électricité et du gaz