12月16日(金)、準決勝でモロッコを2ー0で下し、4度目の決勝進出を決めたフランスは18日(日)フランス時間16時にアルゼンチンと対戦します。決勝進出が決まった14日(水)の夜はシャンゼリゼ大通りに25,000人が繰り出し、深夜には逮捕者も出るなどの大騒ぎになりました。2大会連続優勝をかけた決勝戦を前に国中が沸く中、マクロン大統領は公務のスケジュールを変更してカタールで決勝を観戦すると発表し、野党から非難を浴びています。
街中でどんちゃん騒ぎ、シャンゼリゼに25,000人
準決勝の14日、フランス中の街がバーやカフェに集まって試合観戦する人たちで賑わい、決勝進出が決まるとパリ市内ではシャンゼリゼ大通りに多数のサポーターやパリ市民が集まり一晩中お祭り騒ぎでした。
アフリカ勢史上初の準決勝進出という歴史的快挙を果たしたものの、残念ながらフランスに敗退したモロッコですが、過去の植民地政策で多くのモロッコ系移民が住むフランスでは、モロッコへの応援も盛り上がっていました。
そのためこの日シャンゼリゼ大通りでは、試合後の騒ぎを警戒して機動隊が待機し、厳戒態勢が敷かれていました。
試合終了後、決勝進出を祝う若者や家族連れなど、一般市民が多数集まって歓喜の声をあげていましたが、次第に一部のサポーターの行動がエスカレートし、中にはバスの屋根にのって騒ぐ人もいました。
22時ごろ、機動隊は集まった人々を大通りから外へ誘導を始め、過激になった一部の群衆に催涙ガスなどを使用して応酬し、深夜には少なくとも115人が逮捕されています。
テレビ視聴率、過去最高の2300万人
14日のフランス対モロッコ戦のテレビ視聴者はピークの21時53分ごろに2330万人を記録、視聴率は64.4%で、2006年のフランス対ポルトガルの2,200万人、2018年の準決勝フランス対ベルギーの1,900万人を超え、W杯の視聴者数過去最高記録を塗り替えました。
18日の決勝戦で記録はさらに更新されると関係者は見ています。
フランス過去2回優勝、4度目の決勝進出
フランスは、サッカーW杯が初めて開催された1930年から実に58年も経った、1998年に初優勝を飾っています。
自国開催となった98年のW杯決勝で、この大会で大活躍したジダン(Zinédine Zidane)が2点を叩き込み、ブラジルに3対0の快勝で優勝しています。
2002年と2010年は予選落ちでしたが、2006年は決勝に進出し、PK合戦の末イタリアに敗れています。
2014年、ブラジル大会では準々決勝でこの年優勝したドイツに敗れ、初優勝から20年後の2018年、ロシアで行われた前大会の決勝でクロアチアを破り、20年ぶり2度目の優勝を果たしています。
今回優勝すると、ブラジル、イタリア、ドイツについで4番目に優勝回数が多い国になります。
マクロン大統領、準決勝、決勝戦観戦に「非難」のワケ
今回のカタール大会は、開催前から環境および人道的観点から先進国の避難を浴びていました。
冬でも気温が30度を超えるカタールが建設したスタジアムは、屋根のないクーラー付きのサッカー場で、温暖化ガスの排出量削減の真逆を行くものです。
また、建設に多くの外国人労働者を劣悪な労働条件で働かせ、多くの死者がでたことも大きな問題となり、開催前にEUをはじめとする先進国、国連気候変動枠組条約締約国が非難していました。
フランスのマクロン大統領もその一人でした。
しかしながら14日、モロッコ戦を観戦したマクロン大統領は、カタールのW杯のオーガナイズを暗に褒めるようなコメントを出しています。
野党ヨーロッパ=エコロジー=緑の党(Europe-Ecologie-les-Verts)の党首、マリーヌ・トンドリエ(Marine Tondelier)氏は、大統領の豹変ぶりを「恥」だとツイートしています。
Non mais franchement !
Quel besoin pour le Président de cirer les pompes du Qatar en louant la bonne organisation de la coupe du Monde ?
Les familles des victimes et les LGBT persécutés apprécieront le satisfecit d’ @EmmanuelMacron .
Pays des lumières ? Là j’ai plutôt honte… https://t.co/F1o2A4fGP0
— Marine Tondelier (@marinetondelier) December 15, 2022
「フランス快進撃」電力消費にも影響、試合終了後に逼迫!?
モロッコ戦の試合中、試合後の電力消費量が「通常と極端に異なった」と、フランスの電力供給網を管理するRTE社は発表しました。
同社によると、20時、国歌斉唱の間に電力消費量は減り始め、試合開始と共にさらに減り続けました。その後、ハーフタイムで電力消費は530メガワット一気に増えたかと思うと、後半開始からまた減り始めます。
試合終了の21時59分、通常は400メガワット程度上昇する電力消費が、一気に900メガワット増えます。
Oui, le match des Bleus a bel et bien eu un impact sur la conso ⚡️ nationale avec :
✅ Une ↗️ de la consommation de 530 MW lors de la mi-temps puis une ↘️ à la reprise du match
✅ Une reprise de la conso de 900 MW à la fin du match contre 400 habituellement pic.twitter.com/m5ra16hf4B
— RTE (@rte_france) December 15, 2022
同社は、18日の決勝戦の電力消費に関しても、急激な上昇を警戒し観察していくと発表しています。試合中、いかに多くの人がテレビの前に釘付けだったかわかります。
執筆:マダム・カトウ