11月30日(水)、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)は、バゲッドの製法と文化を世界無形文化遺産として登録することを決定しました。
ユネスコの無形文化遺産とは
無形文化遺産とは、「口承による伝統及び表現,芸能,社会的慣習,儀式及び祭礼行事,自然及び万物に関する知識及び慣習,伝統工芸技術」(*)などの遺産を保護するため、国際的に認知され、援助などを受けるもので、「無形文化遺産の保護に関する条約」(無形文化遺産保護条約)によって定められています。
このリストには、マグレブのクスクスや、ナポリのピザなど、「伝統的かつ現代に通じる」「インクルーシブである」「代表的である」かつ「コミュニティに根ざした」食文化が登録されています。
2009年には「フランス料理」自体がリスト入りしているほか、フランスはブルターニュ地方のフェスト=ノズ(fest-noz)など23種の無形文化遺産をもちます。
*文化庁「無形文化遺産の保護に関する条約の概要」からの引用。
バゲッドが無形文化遺産に
今回、フランスにおける「バゲッド」の製法と、その食文化が、無形文化遺産に登録されることになりました。
候補リストに登録されてから、約1年越しの発表でした(関連記事「フランスの《バゲット》が2022年ユネスコ世界遺産候補のワケ」)。
🔴 FLASH INFO
Nouvelle inscription sur la Liste du #PatrimoineImmatériel : Les savoir-faire artisanaux et la culture de la baguette de pain.
Félicitations à la #France 🇫🇷 !
ℹ️ https://t.co/ruytZ2jTnJ #PatrimoineVivant pic.twitter.com/IQHcv5MYjy
— UNESCO en français (@UNESCO_fr) November 30, 2022
発表の場に出席していたフランス全国パン・菓子連合会(la Confédération nationale de la Boulangerie-Pâtisserie française/CNBPF)会長のドミニク・アンラク(Dominique Anract)氏は、「大きな誇りだ」と述べています。
フランスの食文化のシンボル
アンラク氏は、発表後のスピーチにおいて、「はじめてのおつかいはバゲッド」「毎日買いに行く食材」「村によっては、唯一オープンしている商店で売っている」などと述べ、バゲッドがフランスの食文化の中心的存在にあることを強調しました。
バゲッドは小麦粉、塩、水、イーストのみを材料としていますが、これらを「じっくり」こねて発酵し、手で成形するには高い技術が求められます。
その味は、小麦粉の種類や水の質、温度によって異なり、バリエーションが豊かであるために、フランス全体で豊かなバゲッド文化が発展してきました。
現在フランスには、バゲッドをつくるパン屋が3万3千件あるとされ、アンラク氏にとってバゲッド文化を守ることは宿命なのです。
バゲッド離れ
一方で、食文化の多様化などによりバゲッドの消費量は減っており、アンラク氏によれば毎年400店が閉鎖しているといいます。
それだけに、ユネスコの無形文化遺産と登録されることは、バゲッドへの関心を高め、パン職人という職業の地位を向上することにつながるとして、期待されてきたのだとわかります。
バゲッド文化の保護のために(?!)明日はパン屋さんでバゲッドを探されてはいかがでしょうか♪
執筆あお
参照
UNESCO World Heritage List
Explore France フランス料理はユネスコの無形文化遺産
文化庁 無形文化遺産