9月6日(火)、誰もいない交差点で信号待ちをする、こんな無駄な時間がなくなったらいいなと誰もが思うところですが、フランスのスタートアップ「フラッグル」(Flaggr)が開発したシステムがその夢を叶えてくれるかもしれません。フラッグル社は7月からエッソンヌ県(Essonne)のエヴリー=クールクロンヌ(Évry-Courcouronnes)で試験運用を行なっています。
車を検知して、信号のプライオリティーを決める
フラッグルのシステムはいたって簡単で、信号機に車を検知する箱型のキャプチャーを設置し、カメラが車線ごとに信号待ちする車の数を検出し、その数に応じて信号を変更します。
例えば、信号待ちしている車が1台しかなければ、信号は即座に青に変わります。信号で車を検知して制御する仕組みはすでに存在しています。
ドップラー効果による周波数の変異を利用したレーダーで、この仕組みはスピード違反探知機にも利用されています。
信号の最適化で、待ち時間が30%減少
残念ながら、既存のシステムでは車1台しか検知することができません。フラッグルの創設者の一人、ピエール=アントワーヌ・アルサゲ(Pierre-Antoine Arsaguet)氏によると、この既存の仕組みは過去4年間全く進化していません。
フラッグルのシステムでは、すべての車を検知することができるうえ、車の種類も認識することができます。また最終的には、その車がどちらの方向に進もうとしているかも判別できます。
これらの情報により、信号の変更に必要な判断材料が増え、交通の最適化が可能になります。
排ガス削減にも貢献
フラッグルの試算によると、このシステムを使えば、交差点での信号待ち時間を30%減らすことができます。待ち時間が減ると、アイドリングに使われるガソリンも節約できるため、排ガス削減にも貢献します。
バスや自転車の優先も可能に
信号待ちをする車両の種類の判別が可能になると、待っているのが普通車、自転車、バス、トラックなどにより、優先が可能になります。
専用レーンの有無は自治体ごとに異なりますが、例えばパリ市内には自転車専用レーンが多く整備されており、バス、タクシー専用レーンでは自転車の通行も可能です。
アルサゲ氏は「自治体が自転車やバスなど環境に良い交通手段を優先することもできるし、逆にトラックなど排ガス量が多い乗り物のアイドリング時間を短縮して排ガス汚染を減らすこともできる」と述べています。
【ビッグブラザー】の心配なし、個人情報は収集されず
信号待ちの間、一体どんな情報が収集され、その後どのように利用されるかが気になるところです。
フラッグルによると、設置されるボックスはインターネットに繋がっていないため、信号機以外のものと通信しません。収集するデータは「イメージ」化されていないため、人間が認識することは不可能です。
つまり、ドライバーの顔やライセンスナンバーの認識はできないので、懸念される「監視カメラ」の役割は一切果たしません。
パリ郊外でテスト運用開始、成果に期待
フラッグルのシステムは、現在パリ南40km、エヴリー=クールクロンヌの交差点1箇所で試験運用中です。
7月13日に設置されたばかりで成果は今のところ不明ですが、フラッグル社の創設者はその効果に自信を持っており、テストを受け入れてくれる他の自治体を探しています。
執筆:マダム・カトウ