12月8日(水)、フランス第2の都市リヨン(Lyon)で、毎年恒例の「光の祭典(Fête des lumières)」が開幕しました。12日(土)まで、30件のアートイベントや関連イベントが開催されます。
昨年はコロナウイルスの感染拡大で中止となり、今年も感染再拡大で開催が危ぶまれたものの、厳重な感染対策措置のもと無事に開幕しました。
1年ぶり、マスク着用を義務付け開催
12月3日の時点で、リヨンの街では住民12万人あたりの感染者数が640名と、決して安心できる状況ではないもの、イベントの開催を決行することを発表しました。
イベントの開催エリアと周辺エリアでは、11歳以上にマスクの着用が義務付けられます。
また18時から朝2時までの間、常設の店舗以外が飲食物を販売することは禁止され、公共の場での飲食はできません。バーやレストランなどは、その場での飲食のみを提供することができ、これまで通りコロナパスポートの提示を義務付ける必要があります。
また、指定のイベント会場(学校や美術館など)への入場にはコロナパスポートの提示が義務付けられています。
❙ SITUATION SANITAIRE ❙
Les règles sanitaires à connaître pour participer à la #FDL2021
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飲食可能エリアもあり
とはいえ、イベント会場にほど近い、ローヌ川左岸のマルシャル・リオテ地区(Maréchal Lyautey)には、飲食可能のエリアが設けられています。最大1500名が入場でき、7つのスタンドが飲食物を提供します。入場にはコロナパスポートの提示が必要です。
厳重な警備体制
感染対策措置の徹底とテロ対策の観点から、イベント期間中には500名の国家警察、100名の憲兵、200名の地方警察のほか600名近くの保安部隊を動員しています。
イベント開催エリアの周りには、手荷物検査などの装置も設置されます。抜き打ちの身分証検査もあるとリヨン市は公表しています。
19世紀半ば、聖母像の再建祝いに由来
「光の祭典」の歴史は1852年にさかのぼります。舞台は、リヨンの街のシンボルである、フルヴィエールの丘にある教会でした。
その年の9月8日、教会の聖母マリア像の再建を祝う祭典が予定されていました。しかし洪水により延期された12月8日にも大洪水が起こり、開催が危ぶまれたところ、突然、空から雲が消えたのです。
そこでリヨン市民らはろうそくに火を灯し感謝の意を表し、街全体が照らされました。これが光の祭典の由来です。
ペスト流行から街を守った聖母像
この聖母像はもともと1168年に建設されたもので、16世紀の宗教戦争により一度、消失しています。再建後、ペストが大流行していた1643年9月8日、当時の市長らがペストから街を守るよう祈ったということから、感染症とも縁が深いのです。
2021年のフルヴィエールの丘は、幻想的なフレスコ画で
今年、このフルヴィエールの丘を飾るのは、ローマ神のファウヌスとフローラなどをモチーフとした幻想的なフレスコ画「ビジオン(Vision)」です。アーティストのバンジャマン・ネスム(Benjamin Nesme)が中心となり作成しました。
透明のガラス板に予めモチーフを黒で描いたものをパソコンに取り込み、白黒を反転させます(黒地に白のモチーフ)。これに光を透過させることによって、建物にモチーフを映し出すことができます。
このガラス板は特殊な技術でつくられており、また、モチーフは針やブラシ、木の棒で描き、「ズレ」を作ることによってモチーフが本当に生きているかのような独特の質感をつくり出しました。光の投影には80年代の機材を使用しています。
1年ぶり、待ちに待ったリヨンっ子の恒例イベント
リヨン市長グレゴリー・ドゥセ(Grégory Doucet)は、「この時を待っていた」と、1年ぶりの開催に歓喜を表しました。
執筆あお
参照
Marie de Lyon Fête des Lumières 2021 : des mesures sanitaires renforcées
Fête des lumières Histoire de la fête
Fête des lumières VISION