11月19日(金)、フランス国立統計経済研究所(インセ :Institut National de la Statistique et des Études Économiques)の本日の発表によると、フランスにおける7月〜9月の失業率は8.1%と安定しています。一方、就業率は1975年以来の高さとなっています。
失業率8.1%、予想外れの微増も「安定」
インセは10月初旬、今年後半の失業率を前期の8%から0.4ポイント改善され7.6%と予想していました。
達成すれば2008年以来の低い数字でしたが、本日の発表によると8.1%で、今年の第二四半期のから0.1%予想に反して微増しています。人数にして52,000人増の失業者240万人となります。
前期より多少悪化したとは言え、2021年の失業率はコロナ禍前の2019年のレベルで行ったり来たりしており、「ほぼ安定」していると評価されています。
フランスの就業率、1975年以来の過去最高を更新
インセによると、第三四半期の労働市場は前期よりも更に改善されており、企業の採用意欲は高く雇用は好調です。これはコロナ禍中の今年5月初旬には誰も想像だにしていませんでした。
好調の理由が景気改善によるものなのか、労働市場の構造的な問題の一時的な改善からなのか定かではありませんが、第三四半期の就業率は1975年以来の高さで67.5 %になっています。
この数字は今年の第二四半期比で0.5 ポイント増えており、2019年末と比べると実に0.7ポイントも改善しています。
インセの総括および景気と労働市場部のシルヴァン・ラリユー(Sylvain Larrieu)氏によると、雇用増は全ての年齢層で見受けられますが、特に若年層での改善が顕著になっています。
理由はカフェやレストラン再開で飲食業での需要が増えたことや、若者のインターンシップ雇用が大幅に増えたことが挙げられます。
また、短期雇用やパートタイムよりも正規雇用の需要が増していることから、労働市場の量的な改善のみならず「質」も改善していると言えます。
失業率が横ばいなのに「労働人口増」なぜ?
失業率がほぼ横ばいにもかかわらず、就業率が上がっているという現象について、ラリユー氏は大きく2つの理由を挙げています。
まず一つ目は、失業者の中に「失業予備軍」と呼ばれ一時的に統計から外れる層がいますが、この予備軍のうち約175,000人もの失業者が「好調な雇用需要増」を受け就業した可能性が考えられます。もともと失業者に数えられていなかったため、就業した人だけが増えた形になっています。
もう一つは、15歳〜24歳までの若年層の就業率41.1 %と2019年末から3.2%も増加し、2009年以来の高さを記録しています。この層は最初の就職というケースが多数のため、やはり失業者数の増減とは関係がありません。
また、フランスにおける「ニート」と呼ばれる、就職もしていなければ職業訓練も受けていない層の第三四半期の割合は11.6%で、これは2008年末以来の最低値になっており、現在の労働市場の好調を裏付けています。
執筆:マダム・カトウ