写真はイメージ
9月29日(水)、エールフランスが発注した次世代型航空機エアバスA220最初の一機が今朝パリの空港に到着しました。従来型の航空機よりも航空燃料が少なく済み、静かで座席も広いこのエアバス機が注目されています。
温室効果ガス25%減、コロナ禍で需要激減も60機の注文維持
今回納品されたエアバスA220機の最大の利点は、従来の同等カテゴリーの航空機に比べ航空燃料が25%節約出来ることです。
また、離着陸の際の騒音は50%も少ないなど、乗客にとっても今までより快適なフライトになります。
2020年からのコロナ禍で航空業界は前例のない打撃を受け、エールフランス航空も例外ではありませんが、同社は既に発注されていた60機の注文は維持すると発表し、現在エアバスA318、A319で運行されている中距離、短距離路線について今後徐々にA220を導入していきます。
🇫🇷 Le premier A220 d’Air France, immatriculé F-HZUA, est baptisé « Le Bourget ». pic.twitter.com/oaPpL1HUAd
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🇫🇷 Air France – 1er Airbus A220 🇫🇷 pic.twitter.com/DEKSSc1qHV
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「5座席配置」で真ん中の席が減り、席3センチ広くより快適に
現在の航空機は、通路を挟んで左右に同数の座席が配置されていますが、A220は片方に2席、もう一方に3席の配置になっています。そうすることで乗客に最も人気のない「真ん中の席」が一列に付き一席のみになります。また、席幅が従来型より3センチも広くなっており、より快適なフライトへの配慮が見受けられます。
機内の荷物入れのコンパートメントは、荷物を横に倒して入れるのではなく立てて入れるように設計されています。これにより、約100個の荷物を収納することができます。ちなみにボーイング737/800は70個までしか入れられないことを考えると、大幅な荷物スペースの拡大になります。
騒音公害も半減
カナダのプラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney)社製の最新鋭のジェットエンジンを搭載するA220は、騒音も従来型より半減します。これは搭乗している乗客のみならず、離着陸の騒音に悩む空港近辺の住民にとっても大きなメリットがあります。
エールフランスが発注した60機は、機内148の座席は全て革張りで、座席幅は18.9インチ(48cm)にカスタマイズされています。ちなみにボーイング737の席幅は、17インチ(43cm)です。
ピッチ(席と席の間隔)は10列〜12列の29インチ(73.66cm)を除き、全て30インチ(76.2cm)となっています。
次世代型機、開発はカナダのボンバルディア社
本日パリの空港に到着したA220を開発したのは、カナダのモントリオール(Montréal)を本拠地とするボンバルディア(Bombardier Inc.)社です。同社は2013年にこのエアバスA220と命名された100〜140席の航空機の元になる『Cシリーズ』をリリースし販売を開始しました。
元々スノーモービルを製造していた同社は、カナダのカナデール(Canadair)社を買収して航空産業に参入していましたが、航空機の購入は何十年という長い年月の契約にもなるため、同社の財務状況に不安を抱く大手航空会社は同社製の航空機購入に尻込みしていました。
一時はボーイング社、エアバス社についで業界3位にまで上り詰めたボンバルディア社はその後競合に晒され、新たな営業戦略として『Cシリーズ』の権利を1ユーロでエアバス社に売却しました。
エアバス社が開発し、現在エールフランスの中距離フライトで主流のA319-Neoよりも5,500キロも軽い『Cシリーズ』は、こうしてエアバスA220の名前で販売されることになりました。
明日30日(木)、納入されたばかりのエールフランス第1号機は早速乗客を乗せて飛び立ちます。
執筆:マダム・カトウ