フランス 2022年国家予算発表 大統領選狙い「大判振る舞い」と野党より批判も

2021.09.24

フランス 来年度予算 大統領選狙い気前良すぎ?

9月24日(金)、コロナ禍で打撃を受けたフランス経済を「何が何でも守る」と、企業に対し手厚い支援を行ってきた政府は昨日23日、マクロン大統領の任期最後となる来年度予算を発表しました。本来コロナ禍で膨らんだ負債で引き締めに入るべきとの声もある中、来年4月の大統領選を前にGDPを大幅に超える予算案となっています。

 

2022年の財政赤字GDPの4.8%で大幅減だが

コロナ禍で膨らんだフランスの財政赤字は2020年でGDPの9.1%、2021年では8.4%にも上りました。ワクチン接種による感染減から経済活動の正常化が進む中、来年度は4.8%と半減する予想が立てられています。

負債比率114%、「手厚い」コロナ支援終了で微減

財政赤字の減少により負債の比率も減少します。2021年度の負債比率はGDPの116%となる見込みですが、来年は114%とわずかに改善することになります。

改善の理由として、コロナ対策費用が大幅減となり来年度の財政支出が3.5%抑えられる事が挙げられています。

政府は2020年からコロナ対策のための企業への手厚い支援金、社会保障費用の免除、社員の休業補償など様々な支援を行ってきましたが、これらの支援が徐々に終了もしくは減額となり、観光業、ホテル業、レストラン業、イベント業など一部の業種を除き、今年の9月末に終了します。

2020年にはこういった企業への支援は元より低所得者への給付金などを含め800億ユーロ(約10兆3000億円/1ユーロ=約129円)使われた「コロナ緊急予算」は、来年にはマスク購入費用として2000万ユーロ(約26億円)のみ計上されています。

 

大幅増で建てられた来年度予算

教育予算大幅増、前オランド政権より12%増

教育省の予算は552億ユーロ(約5兆3011億円)と、2021年から16億ユーロ(約2,073億円)増額されています。この予算が確定すると、マクロン政権下5年間の教育予算は60億ユーロ(約7,770億円)となり、前オランド政権の5年間に比べ12%もの増額になります。

防衛費「前代未聞」の増額

防衛予算も17億ユーロ(約2,203億円)増の409億ユーロが予定されています。この前例のない防衛費には8億ユーロ(約1,036億円)の軍事費のほか、最新鋭の戦闘用機材などの新規購入費用6億ユーロ(約777億円)も含まれています。

文化省にも初の40億ユーロ越え

コロナ禍の2年間で国や地方自治体の収入源となる美術館、博物館、劇場などの入場収入は激減しています。現在も海外からの入国制限による観光客減や、コロナ対策による収容人数制限などから入場者数の回復はまだまだ先になると予想されます。

また、イベントやコンサートなどもロックダウンやその後の規制で長期にわたり中止を余儀無くされ今後も支援の必要があることから、文化活動への支援が来年は大幅に強化されます。

予算額は40億ユーロ(5,185億円)で、2021年7.5%増になります。

 

どうやって返す?コロナ負債、返済完了は2042年

コロナ対策でフランス政府が作った巨額の借金は、実に1,650億ユーロ(約21兆3,756億円,)にも上ります。

フランス財務省はこの巨額の借金を毎年返済する計画を立てています。2022年の返済額は19億ユーロ(約2,461億円)が予定されていますが、返済には少なくとも20年かかると見られています。

 

財政健全化は先延ばし「大盤振る舞い」

コロナ禍で弱体化した経済の再建を優先し、マクロン政権の公約の一つだった国家財政の健全化はまた見送られた形になりました。

2020年は2,700億ユーロ(約35兆円)、2021年は3,001億ユーロ(約39兆円)だった税収が、来年は3,110億ユーロ(約40兆3,000億円)と増える見込みになっていますが、債務の膨張に歯止めがかけられないことから批判の的になっています。

そのほかにも、コロナで就職が出来ない若年層や困窮する学生への支援、マルセイユ市の住居老朽化問題などの国家負担増として120億ユーロ(約1兆5,600万円)が発表されるなど、来年の大統領選挙を見据えた「根拠に欠ける大盤振る舞い」として野党からの批判が相次いでいます。

執筆:マダム・カトウ

オンラインフランス語学校アンサンブルアンフランセは、プロの講師によるマンツーマンのスカイプレッスンが1回1500円~受講できます。いつでもどこでも手軽に受講できる利便性と生徒一人一人にカスタマイズされた質の高いレッスンが好評です。→フランス語無料スカイプ体験レッスンはこちら メールマガジンであなたのフランス語学習をサポートする情報をお届けします。フランス語メールレッスン