9月21日(火)、フランスにおける新型コロナの新規感染者数は週平均で1日7,102人で、第5波のピークだった8月中旬の23,783人から大幅な減少が続いています。これを受けフランス政府は、現在全国的に導入されているワクチンパスポートの提示義務について、感染者数の少ない県に関しては緩和を検討すると発表しました。
入院者数減、病床逼迫も解消
昨日のフランスにおける感染率は人口10万人に対し75.55(週平均)で、前日の79.24を下回っています。過去24時間以内の死者は21人で、前日より7人減っています。
現在の入院患者は8,845人で前日から42人減、そのうち重症患者数は1,805人でこちらも前日より27人減、新規入院者数は373人で前日より大幅増(+260)となりましたが、先週の月曜日と比べると73人減となっています。
感染率の低い41県、約5割
フランス政府は規制緩和の目安として、人口10万人に対する感染者数を週平均で50人未満としています。
9月11日〜17日の一週間平均で人口10万人に対する感染者数が50人を切った県は41県で、これはフランス全国96県中約半数にあたります。
この中には、北フランスのパ=ド=カレ県(Pas-de-Calais)やブルターニュ地方のフィニステール県(Finistère)モルビアン県(Morbihan)、フランス大西洋側の中心にあるシャロント=マリティーム県(Charente-Maritime)、東フランスのヴォージュ県(Vosges)、南西フランスのランド県(Landes)やジェルス県(Gers)などが含まれます。
フランスで最も感染率が高い県は大都市マルセイユ(Marseille)のあるブーシュ=ドゥ=ローヌ県(Bouches-du-Rhône)で人口10万人あたりの感染者がは42人となっていますが、前週に比べ27%減っています。
パリ市内は10万人あたりの感染者が81人で規制緩和の対象には達していませんが、前週からマイナス13%と感染者数の減少が続いています。
ワクチンパスポートなど規制緩和を検討に
ヴェラン保健相は18日(土)の記者会見で、過去3週間の新型コロナの感染減により、「このまま減少が続けば」と前置きしたうえで、ワクチンパスポートを含む規制緩和を検討していると正式に発表しました。現在導入されている規制はそもそも11月15日までの期限付きですが、早めの緩和に期待が持たれています。
ただし、保健相は「フランスが新型コロナ対策を今後数ヶ月で撤廃する」などといった「軽はずみな政策」は取らないと釘をさしています。
保健相の発表に先立ち、マクロン大統領は先週木曜日、18歳〜64歳までのフランス人の84%、65歳以上の89%がワクチン接種を終えたと発表しています。
その際、今後の規制緩和、特にワクチンパスポートに関して、現在全国レベルで導入されている規則を感染率の低い地域に限って「県ごとの規制にシフトすることを検討している」と発言しています。
つまり、現在フランス中どこへ行ってもカフェやレストランで店内飲食をするにはワクチンパスポートの提示が必要ですが、規制緩和になれば、感染者の少ない隣の県での提示は不要になるといったことが可能になります。
この件は明日22日の衛生保守評議会で検討され、その結果が発表されることが予定されています。
ちなみに、フランスでまだワクチンを接種していない人は約800万人で、この中には高齢者もしくは基礎疾患を持つ重症化リスクの高い人200万人が含まれています。
執筆:マダム・カトウ