2月19日(金)、フランスでは今年も1月20日から2月9日までの約20日間に冬のバーゲンセール「ソルド」(soldes)が行われましたが、コロナの影響を受けなかった昨年と比べて消費額は約6%減っています。1月、2月の消費全体も前年を大きく割っています。特に打撃を受けた旅行消費ですが、フランス国鉄では乗客が激減する中、なぜか駅や車内での忘れ物が激増しています。
1月、2月の消費、前年比9%減も勝ち組と負け組
ル・パリジャン(Le Parisien)紙は17日に年初から2月13日までのカード支払いの利用調査を公表しました。
それによると、前年比で旅行(-79%)や外食(-54%)は激減していますが、外食で減った一部は食料品(+17%)に吸収されるなど、全ての消費が減ったわけではなく、家にいる時間が長くなったことで、家のリフォーム関連やインテリア、電化製品などの家財道具や園芸用品(+21%)の消費は増えています。
巣ごもり消費の勝ち組は当然のごとく、アマゾン・フランスやCディスカウント(Cdiscount)社などのEコマースで、19%増になっています。
一方、レストランやカフェの営業禁止、イベントやコンサート、美術館や映画館など娯楽施設が軒並み休業で、外出の機会が減ったことから、衣料品とアクセサリーはマイナス12%、化粧品など美容関係品も6%減となり、ソルド初日から50%割引を行う商店が多かったにもかかわらず、今年のソルドは苦戦を強いられました。ただし、宝石や時計だけは「バレンタインデー効果」のためか、2月上旬の短期間で消費増が見られました。
商店の閉店時間も《前倒し》、ソルドの効果薄
1月20日からのソルド開始直前、16日(土)に導入された夜間外出禁止時間の前倒し(18時から)以降の消費額は、その1週前の土曜日に比べて15%減となっています。さらに2月上旬から2万平米以上のショッピングセンターやファッションビルの営業が禁止されたため、既に深刻な売上減にあえぐ衣料品関連の消費に更なる打撃を与えています。
コロナで乗客激減、なのに激増した《駅や列車の忘れ物》
コロナの影響で当然のごとく列車の本数と乗客数が激減しているフランス国鉄ですが、車内や駅構内での「過去に例を見ない」忘れ物の激増に困り果て、遂に注意を呼びかけるキャンペーンを開始しました。
この新しい「傾向」について、同社は「マスクを着用しているため利用客の視界が狭まった」ことが原因の一つだと説明しています。
忘れ物の中でも増えたのは、小さな手提げカバン、買い物袋、パソコン用のカバンなど比較的小さな物で、視界が狭まった(?)ことで忘れやすくなったのではないかと見ています。
持ち物より「感染リスク」を意識
また、車内では「感染リスク」を警戒するため、自分の席の周りの環境や他の乗客の「振る舞い」に注目する傾向が強まり、自分の身の回りの「物」への注意が散漫になっていることも大きく影響しています。
駅構内でも同様に、自分の近くに感染リスクがないかを注意するあまり、置き忘れが多発しています。
フランス国鉄は、床に注意を呼びかけるステッカー貼ったり、駅や車内でのアナウンスで注意を呼びかけています。
(フランスでは通常「車内でお忘れ物のないようご注意ください」など、「個人の責任範囲」に当たる事柄に注意を呼びかけることはありません。)
執筆:マダム・カトウ