エールフランスが国内線のCo2排出量をゼロへ 持続可能な航空業界へむけて取り組み

2019.10.02

9月30日(月)、エールフランス航空(Air France)のアンヌ・リゲル(Anne Rigail)代表取締役社長が、現地紙のインタビューに対し、2020年1月1日以降、エールフランス航空の国内線の二酸化炭素(Co2)排出量を実質ゼロにする計画を発表しました。

 

二酸化炭素排出量を相殺し実質ゼロへ

エールフランス航空は2020年1月1日以降、国内線の定期路線500便で排出される二酸化炭素排出量を全て相殺し、実質ゼロとする計画を発表しました。

エールフランス航空はこの計画に数百万ユーロ(数億円/1ユーロ:117円、2019.10.02現在)を投資し、その内容は、植林プロジェクト、森林保護、脱炭素に向けたエネルギーの転換、生物多様性を保全するプロジェクトなどで、持続可能な航空業界への転換へ向けた取り組みとして行われます。

既に欧州便では取り組みが行われている

同社は、既に欧州連合域内排出量取引制度(仏:Le système communautaire d’échange de quotas d’émission/SCEQE)の下で欧州便の二酸化炭素排出量を、また国際路線炭素排出量削減および相殺制度(仏:Le Régime de compensation et de réduction de carbone pour l’aviation internationale/CORSIA)の下で国際線の二酸化炭素の排出量を相殺する取り組みを行っています。

リゲル社長は、エールフランス航空は2011年から2018年の間で既に20パーセントの二酸化炭素排出量を削減している、と述べています。また、今回の国内線の排出量ゼロ計画は、自発的に同社が行っている、ということをアピールしています。

 

持続可能な航空業界への転換へ向けた同社の取り組み

持続可能な航空業界への転換に向け、エールフランス航空は、同社の航空機の半数を燃料消費量が現在よりも20パーセントから25パーセント少ない新世代の航空機へ置き換えることや、地面走行中の電気エンジンでの走行など、より二酸化炭素排出量が少なく環境に優しい航空産業へ向けた計画にも言及しています。

また、10月からはごみの分別によるリサイクルを開始することや、1月からすべての使い捨てプラスチック製品を排除していく計画であることも明らかにしました。

 

欧州で広がる航空機離れ

現在、ヨーロッパでは「flygskam(フライグスカム)」と呼ばれる、航空機を利用しない動きが活発化しています。このflygskamはスウェーデン語で「飛ぶのは恥だ」と言う意味の造語で、気候変動が叫ばれている中、国内の移動に飛行機を使ったり、チャーター機を飛ばしたりするのは恥ずかしい、として使われ始めました。

航空機を使わずに近場で行ける場所には電車などで行こう、と航空機の利用を控える運動が広がりを見せています。

若者に広がる気候変動阻止への動き

また、ヨーロッパを始めとして現在世界中で行われている、気候変動への警鐘を鳴らすための若者によるデモ行進は、歯止めがかからない地球温暖化による若者たちの将来への不安が表面化していることを表しています。

先の国連総会で、スウェーデン人の環境保護活動家、グレタ・トゥーンベリさん(16)が「大絶滅を前にして、あなたたちは経済発展の話ばかり。よくもそんなことを」と強い口調で世界の指導者たちを批判したことは記憶に新しく、世界に衝撃を与えました。

このトゥーンベリさんの演説について、ヨーロッパ諸国では彼女を支持する声が多く聞かれます。10代の若者たちが真剣に気候変動について考えてデモを行うなど、社会への働きかけが活発化していて、政府や企業も、この動きをもはや無視することはできない状況となっています。

今回のエールフランス航空の取り組みが、航空業界全体へと広がっていくことが期待されます。
※アンヌ・リゲル(Anne Rigail)社長は、フランスではアンヌ・リガイユと発音されますが、エールフランス航空発表の綴りに沿って表記しています。

執筆:Daisuke

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