13日(土)、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、パリ祭(Le 14 Juillet/Fête nationale française)を前にパリの国防省(Hôtel de Brienne – Ministère de la Défense)で演説し、今年の9月に「宇宙軍司令部(commandement militaire de l’espace)」を創設すると発表しました。
宇宙軍司令部
マクロン大統領は、パリ祭を翌日に控えた13日、国防省で毎年恒例の演説を行い、「宇宙における我々の能力の開発と強化を確実なものとするため、空軍の中に、重要な宇宙軍司令部を設置する」「我々は宇宙の状況に関する知識を強化し、攻撃的な手段も含めて、我々の人工衛星をより良く守るようにするだろう」と述べ、今年の9月に宇宙軍司令部を設置することを明らかにしました。
将来的には、空軍と宇宙軍は統合され、「空・宇宙軍(l’armée de l’Air et de l’Espace)」になるとのことです。
宇宙は国際的な開発競争の分野に
偵察衛星(スパイ衛星)や通信妨害、サイバー攻撃、人工衛星を攻撃する衛星攻撃兵器の開発など、宇宙は現在、軍事作戦には欠かせない開発分野となっていて、国家間の対立に発展しています。
世界最大の宇宙開発大国である、アメリカや中国、ロシアは宇宙の主権を得るため、数年前から宇宙開発を積極的に行っていますが、フランスもこの分野に参入し、アメリカやロシアに続き積極的に軍備を強化したい考えです。
予算は4000億円以上
2019年から2025年までのフランス軍事計画法(La loi de programmation militaire/LPM)では、宇宙防衛の予算として、36億ユーロ(およそ4370億円/1ユーロ:121円計算)を計上していて、これらは主に、フランスの観測衛星や通信衛星の更新、新たに打ち上げられる3つの人工衛星、宇宙監視衛星の強化などに充てられます。
マクロン大統領は、演説の中で「(宇宙軍司令部設置のための)必要な新たな投資が決定されるだろう」と述べ、更に多くの予算がつぎ込まれることを明らかにしました。
欧州を牽引していきたい考え
今年のパリ祭(Le 14 Juillet/Fête nationale française)では、欧州の連帯を象徴する演出が行われましたが、マクロン大統領は、宇宙開発、防衛の分野でも欧州をリードしていきたい考えとみられています。
執筆:Daisuke