病欠など、有給休暇取得以外で会社を欠勤(注)する人が増えており、2017年は過去10年間で最高の17.2日になったと、コンサルティング会社AMYINGが発表しました。
民間企業社員の欠勤、年々上昇 過去最高の17.2日
過去10年間の調査で、民間企業の欠勤者は年々上昇しています。2017年は平均17.2日となり、民間企業就労者の4.72%の人が欠勤しています。
若者とシニアに多い欠勤
調査では25歳未満の若者と55歳以上のシニアの欠勤率がもっとも高く、それぞれ7%を超えています。25歳未満の欠勤は短期間ですが、回数が多いのが特徴です。今の若い世代は仕事よりプライベートを重視する傾向にあること、また彼らの先輩の世代よりもプレッシャーに弱いことが欠勤の多い理由に挙げられます。
仕事のプレッシャーから解放されるために会社を病欠してしまう傾向がある、と調査会社は分析しています。
定年2年延長が影響
一方、55歳以上の欠勤は回数こそ少ないものの、1回の欠勤日数が長い傾向にあります。その原因として、2010年にまず定年の「減点なしの受給(注1)」の権利が65歳から67歳に、さらに2017年の法改正で、定年の最少年齢が62歳となり、それまでの60歳から2年延びたことが考えられます。
社員の高齢化により、「腰痛」「関節障害」「心臓疾患」等、以前ホワイトカラーにはほとんどなかった病欠理由が見受けられるようになりました。
女性は仕事後の家事で「ダブル労働」
男女比では、欠勤は女性に多いという結果がでています。男女平等と女性の社会進出に積極的に取り組んでいるフランスでも、女性の従事する職種には立ちっぱなしの単純肉体労働も多いため、腱鞘炎など慢性疾患や心身の疲労が欠勤率を上げています。
また、女性の場合、就業後も家事労働をする「ダブル労働」を行い、8割の家庭では女性が学校への送り迎え(注2)や子供の世話をするなど、日々の負担が男性よりかなり多いことは明らかです。
医療関係などの重労働と単純作業
職種別で欠勤が多いのは、病院や介護などの医療関係、商店、工場などを持つ工業関係となっています。夜勤や人手不足でストレスが多く、患者を持ち上げるなどの重労働を伴うため、筋肉や骨などの疾患で欠勤が多い医療関係ですが、商店で商品を棚に並べたり、単純作業の繰り返しなど、「職務に意義を感じられない職種」でも欠勤が多くなっている、と調査会社は指摘しています。
コルシカなど、失業率が高いと欠勤が多い?
地域別では、コルシカ(Corse)、ノルマンディー地方(Normandie)、グラン・エスト(Grand Est)、オクシタニア地方(Occitanie)がもっとも欠勤率が高くなっています。これらの地域は失業率が高いため、なかなか転職することもできず、自分の意思に反した職種や職業に無理して従事している人が欠勤率を上げているようです。
注)フランスの労働法では、病欠の場合医者の証明書(ドクターストップ=arrêt de travail)があれば、有休消化にはなりません。欠勤期間の給与は一部企業負担、不足分は社会保険局から補填されます。(業種別労働協定により、非支給期間有)
注1)年金を払った年数(四半期数でカウント)の短い人でも減点なしに、支払った額や期間に応じて比例支給されます。
注2)フランスの小学校では親(もしくは親が指定したベビーシッターなど)が子供の送り迎えをします。
執筆:マダム・カトウ