フランス人の日常会話で頻繁に出てくるけれど、教科書を調べても載っていない。フランスで生活しているとそんな言葉にたくさん出くわします。今回はその1つ Entre guillemets(アントル ギユメ)をご紹介いたします。
「指でクイックイッ」を言葉で表現する
皆さんも一度は見たことがあるかと思います。欧米人が両手でピースサインを作って、人差し指と中指をクイックイッと2回曲げるジェスチャー。指で引用符「“ ”」を作って、話している内容をカッコで囲っているという表現ですが、これを言葉にしたものが Entre guillemets です。
Entre が「あいだ」、Guillemet は「山カッコ」つまり「《 》」のことで、通常複数形で使い、「カッコの中」という意味です。フランスではジェスチャーだけでなく言葉でもよく使われるんです。
どんな時に使われる?
「いわゆる」と言いたい時
「いわゆる」「まぁそんなところ」というような表現をしたい時に使います。本当の意味の裏返しのような、皮肉を言う時の表現にもなります。例えば、明らかに仮病だと分かっている場合の友人に関する一言。
Hier comme elle était “malade“, elle n’a pas pu venir au dîner.
昨日彼女は「体調が悪かった」から、夕食に来なかった。
malade と言いながら指でジェスチャーをするか、言葉で elle était entre guillemets malade と言うか、どちらでも表現できます。「本当は別の理由で来れなかったのに」という意味を含んだ内容になります。
他人の言葉を引用する時
本や新聞などの言葉を引用する時にも使われます。この場合は指のジェスチャーではなく、言葉での表現が多く使われます。
Saint-Exupéry a écrit entre guillemets L’essentiel est invisible pour les yeux.
サン=テグジュペリは「大切な物は目に見えない」と書いた。
使いこなせたら“上級者”!
ジェスチャーではなく言葉でカッコを付けるなんて想像もしていなかったので、始めて聞いたときは「…アントルギユメ…アントルギユメ」と発音は聞き取れても綴りが分からず、辞書で調べることもできませんでした。そんな時、発音から意味を質問できるスカイプレッスンは便利ですね。
私も会話の中で使ってみたいけれど、使用のタイミングがなかなか難しい。使いこなせるようになったら、“フランス語上級者”と言えるかもしれません!
執筆 Emi