フランスの人気歌手ジョニー・アリデーの遺産相続問題、レティシア夫人が反論

2018.04.12

2017年12月に亡くなったフランスの人気歌手、ジョニー・アリデー(Johnny Hallyday)が妻レティシアに全財産を相続し、実子2人(ダヴィッド、ローラ)を遺産相続から意図的に排除していたため大きな問題となり、メディアで大きく騒がれていました。人気歌手のダヴィッドと女優のローラに同情的な世論に対し、妻のレティシアが夫の死後はじめてインタヴューに応じ、反論しています。

 

国民的人気歌手、ジョニー

「ジョニー」の愛称で呼ばれる、ジョニー・アリデー(本名ジャン・フィリップ スメ Jean-Philippe Smet) は、1960年に17歳でデビューし、アメリカの人気歌手の曲をフランス語で歌って知名度を上げ、国民的スーパースターとして君臨する人気ロック歌手でした。一方健康面では2009年に大腸がんを患い、手術後活動を開始したものの、肺がんのため2017年12月5日に亡くなりました。

 

4回の結婚で2人の実子、2人の養子の複雑な家族構成

1965年、当時人気歌手で世界的に有名になったシルヴィ・ヴァルタンと(Sylvie Vartan)と結婚し、のちに人気歌手とるダヴィッド・アリデー (David Hallyday)が誕しました。1980年代にはフランスの有名女優、ナタリー・バイ(Nathalie Baye)との間にローラ・スメ(Laura Smet)をもうけましたが、1995年には最後の夫人となった32歳年下のモデルで友人の娘、レティシア・ブドゥ(Laeticia Boudou)と結婚、2人の養子、ジャッド(Jade)とジョイ(Joy)を養子に迎えています。
この複雑な家族構成から、ジョニーの死直後から遺産相続問題が注目を浴びていました。

 

膨大な資産と著作権収入

ジョニーの総資産は100万ユーロ(約1億3100万円)といわれていますが、節税のため居住地を 2006年にはスイス、2014年にはアメリカに移しています。
最後の居住地となったアメリカの富裕層がよく行う手法にならい、遺言を作成したカリフォルニア州に基金(トラスト)をつくり、現在その基金が彼の遺産の管理を行うことになっていますが、相続人が妻であること以外、詳細は明らかにされていません。

作詞作曲をほとんど行わなかったジョニーは、自分の楽曲のうち93曲を自らが設立した会社で保有することで、年間約20万ユーロ(約2600万円)の配当金を受け取っていました。また、レコード会社から膨大なコミッションを得ていたといわれており、これが死後も遺族に入ってくることになります。

 

遺言で実子を排除、妻のレティシアが唯一の遺産相続人に

ジョニーの死後明らかになった遺言の内容によると、ジョニーは意図的に2人の実子、ダヴィッドとローラを相続人からはずし、妻のレティシアを唯一の相続人に指名していました。子供の遺産相続の排除はアメリカでは有効ですが、フランスでは認められていません。

また、ジョニーが最後にレコーディングしたCDはレティシアが最終監修することになっており、実子の2人は今年2月に最後のCD監修の権利とともに、遺産の一時的な凍結を求めて大審裁判所に急速審理の訴えを起こしています。

 

父の死に目に会わせてもらえなかった

娘でフランスの女優のローラ・スメは「父の闘病中に何度か会いにいこうとしたが、レティシアに断られた」「父の死に目に会えなかった」などと、SNSやメディアで発言しています。また、自らが亡き父と同じく歌手になり、父のために楽曲を提供していたダヴィッドは、自分のコンサートで父への想いをかたっています。さらに、ダヴィッドの母親シルヴィ・ヴァルタンをはじめ、ジョニーの友人だった歌手や俳優などが、それぞれ生前のエピソードなどを披露してレティシアまたは実子のどちらかを擁護していますが、世論はおおむね実子に同情的でした。

 

未亡人レティシア「喪に服す間もなく、めったうちにされた」

一部のファンには「あの金髪女」と呼ばれ、「闘病で弱ったジョニーは若いレティシアに操られた」、などと誹謗中傷された未亡人ですが、雑誌のインタビューで、「彼らは私の娘たちが養子であることをわざわざ強調したりしていますが、父親の思い出が汚されるのではないでしょうか?」、「もう50歳のダヴィッドは、生前贈与も十分にしてもらい、アーティストとしての才能も名声もあり、立派な人生を歩んでいます」、また「ローラも同じように援助してもらい、父親としての役割は終わっています」と話しています。

最後のCDに関して「ジョニーは自分の指示を逐一遂行してほしかったから私を選んだのです」と夫の意思を強調し、「私は世間が思っているような人間ではないですが、夫のジョニーがそれを証明することはできません」と世論に反論しています。そして「今は、私は心の平和だけがほしい」と今の心境を語り、「義理の息子と娘をいつか許してあげられると思う」と締めくくっています。

執筆:マダム・カトウ

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