美食の国フランスを語るのに欠かせないワイン。なんと、ワインは世界でも愛されている香料の1つなのです!今回はフランス西部ボルドー地方の豊かな自然が生む、ワインの香りを追う旅をお届けします。
ワインの香りを身につける!
日本でもフランスワイン愛好家は年々増えています。「オシャレな料理に合うから。」「その味が好き。」もしくは「美容のため。」など、赤ワインが好まれる理由は様々です。
ワインが持つ独特のエレガントな雰囲気を舌で味わうのではなく、身に纏うことができたらどうでしょう。ワインの香りがするパルファム(香水の中でも濃度が高い)は一般的ではありませんが、さすがは香水大国のフランス。名作と呼べる美しい香りをしっかりと生み出しています。
真っ赤な香水 ブラッディウッド
まずご紹介するのはリキッド イマジネール(Liquides Imaginaires)が2013年に発表したブラッディ ウッド(Bloody Wood)というオードパルファムです。
「血の水」(Les eaux sanguines)と名付けられたシリーズの1つで、その名の如く香水は真っ赤な色をしています。イメージは、”空想のヒーロー達の体を流れる血”。
ブラッディウッドはどんな香り?
大胆な発想で生まれたブラディウッドはワインの澱(おり)という少しメタリックな香りからスタートを切ります。重厚でかつフルーティーなボルドーワインがチェリーやラズベリーによって引き立ち、やがて穏やかなワイン樽や白檀でゆっくりと終わりを告げます。激しく美しい物語を見出だすことのできる、ユニークなオードパルファムです。
◆「血の水」(Les eaux sanguines)サイトはこちら
ポエムから生まれた香水 ネバーモア
2本目の香水はフラパン(Frapin)から2014年に発売されたネバーモア(Nevermore)というオードパルファムです。ネバーモアはアメリカの詩人エドガー アラン ポー(Edgar Allan Poe)の物語詩「大鴉」から着想したものです。
大鴉が主人公に繰り返した言葉「二度とない(Never more)」が香水のタイトルになっています。毎年1月19日、エドガー アラン ポーの誕生日には、無数の参拝客が3本の深紅のバラとコニャックの小瓶を彼の墓に供えるそうです。
もともと1270年からのコニャック製造名家であるフラパンはこの「大鴉」という物語詩を香水で表現したいと思い、調香師アンヌ ソフィー ベアゲル(Anne Sophie Behaghel)に依頼しました。
ネバーモアはどんな香り?
私の香水学校の先生でもあったアンヌソフィー ベアゲルの作品は温かく、独創的で才能に満ち溢れています。ネバーモアも例外ではありません。
トップは、少し熱したアイロンを思わせるオレンジ調の香りにナツメグやブラックペッパーのアクセント。葡萄やワインの中にも含まれるという薔薇の香りの分子をふんだんに使用し、この香水にエレガントな女性の影を与えています。
ボルドーワインの澱のメタリック感がパウダリーで温かいサフランで包まれ、杉やアンバーがより一層深い香りに仕上げています。
◆フラパン(Frapin)のサイトはこちら
まとめ
今日はボルドーワインにまつわる2つのオードパルファムをご紹介しました。太陽と大地が育み、長い工程を経て誕生する名作ワイン。まさに香水も同じです。
美しい香調に深い物語が加わることで、肌につける一滴がまた格別のものになります。蓋を開けた瞬間も、時間をおいてもなお愛しく思えるお気に入りの香水をみつけてくださいね!
執筆者 ふみ