「香水と言えばあのブランド!」と多くの方が老舗の銘柄を思い浮かべることでしょう。しかし、老舗ブランドとは違う ”ニッチ” というカテゴリーが存在するのをご存知ですか?今回は香水の”ニッチ”ブランドの魅力についてお話します。
ニッチな香水はなぜ誕生した?
1997年前後、世界では多くの香水ブランドが大資本化と大量生産を始めたため、高級かつ贅沢品であった香水が、まだごく若い学生達にも手が届くほど日用品化され始めます。
しかし、独自の色を失いつつある大資本のブランド戦略に、才能あるやり手パフューマー達は賛同しかねていました。やがて彼らは、「潜在するニッチなラグジュアリーで本物志向の需要に応えよう!」と、自らの香水メゾンを2000年頃から次々と創設する動きを見せ始めたのです。
”ニッチ”の意味と語源
”ニッチ” は元々英語単語 (Niche ) ですが、フランス語では “ニッシュ” と発音し、そもそも犬小屋や小室、彫像などを置くため壁面に作り付けたくぼみ台などを表します。
マーケティングにおいて、 ニッチは ”小さな適所” や ” 隙間 ” という意味に捉えられ ”隙間市場=ニッチ市場 ( marches niches )” という言葉が生まれました。
ニッチな香水を誕生させたパフューマーたち
まず、資生堂のアーティストディレクターであったセルジュ ルタンス 氏( Serge Lutens ) がパルファン セルジュ ルタンス ( Parfum Serge Lutens ) を立ちあげました。
そして、ニューヨークでアートを学び香水の世界で長年経験を積んだフレデリック マル氏 ( Frédéric Malle ) もエディション ドゥ パルファン ( Edition de Parfum) を創業させました。
更に、エルメス ( Hermès ) など多くの香水を手がける天才的調香師ジャンクロード エレナ氏 ( Jean-Claude Ellena) がザ ディファレント カンパニー ( The Different Company ) を創立するなど、数々のパフューマーたちがニッチブランドを始動させています。
香水の”ニッチ”ブランドの特徴とは?
自らのメゾンを立ち上げるだけではニッチブランドとは呼べません。香水における ”ニッチ” の特徴には次のようなものがあります。
- 概ね天然香料を重視しています。大量生産を目的としていないニッチブランドは予算の制約が緩いため貴重な天然香料を使い、より高品質で美しい香水に仕上げることを念頭においています。
- 香りが独創的で、高い芸術性が感じられます。大衆向けではなく、オリジナリティを追求し調香師達が手腕を奮い作り上げています。それぞれのブランドコンセプトに沿った香りは実に個性豊かで、一度恋に落ちると大恋愛に変わる可能性を秘めています。
- 希少性を謳います。ブランド価値を高めるために、広い販路ではなく少量生産で品質管理を徹底しています。
最後に
今回は、世界で大きく注目されている ”ニッチ” な香水についてご紹介しました。「美しいものは価値を失うことなく美しいままであって欲しい。」という、香水のニッチブランドが持つ精神を次世代にも伝えていきたいものです。
次回は、今最も輝くニッチブランドの一つをご紹介します!
執筆 ふみ