今回は、前回の記事でご紹介したスイスローザンヌの香りエキスパート ” フィリップ クマラ カルト氏( Philippe Kumara Cart )” の特別インタビューをお送りします!フィリップの香りについての考え、思いなど貴重な意見を伺うことができました。
・前回の記事⇒ニッチな香水(2)注目!スイスの若きパフューマーが生む香りの秘密
Q1.あなたにとって香水とは何ですか?
幼少の頃からあらゆる香りに親しんできたフィリップ。「香水とは何か?」という漠然とした質問にも、丁寧で美しい答えを用意してくれました。
フィリップ: 『香水とは感情であり、自分自身に贈る旅のようなものです。いつの時代も香りはパーソナリティを表現してきました。通り過ぎた時に感じる香水の残り香は、私の人格を語ってくれる一部なのです。』
”人格を語る。” だからこそ上質で個人の性格に合った香水を選ぶことが重要になってくるのですね。
Q2.香りエキスパートを目指すためには?
筆者:どうすればフィリップのような世界で認められる香りのエキスパートになれるのでしょうか?日本の希望あふれる若者にアドバイスをお願いします。
フィリップ: 『日本人に限らず、どの国の人でもエキスパートになることはできます。ただ物事には始まりがあります。まずは香りへの興味が第一です。その興味がやがて情熱に変わったら、香りの道を正しく学び吸収してください。その時の情熱が一つの仕事となるでしょう。しかし、それだけではただの仕事に過ぎません。香りを職業にしたときからプロ意識を持ち、充分な期間経験を積んでエキスパートになるのです。』
筆者が相槌を打つとフィリップは真剣な目をして加えました。
フィリップ: 『一番大切なのことは好奇心を忘れないこと、それが成功への鍵にもなる。それからね、持っている知識を他に分け与えようとしないプロフェッショナルは、エキスパートではありませんよ。』
Q3.今後のPhilippe K.の未来像は?
筆者: 念願のニッチな香水専門店を開いたフィリップ。これからのプロジェクトを教えてください。
フィリップ: 『昨年秋にブランド Philippe K. としてキャンドルを発表しました。最初は少なかった取扱店も、ありがたいことに今では15店舗と増えました。顧客も少しずつ増え、メディアも取り上げてくれるお陰で少しずつ各地に名が知れ始めています。とりあえずの目標はオート パフュームリー フィリップ カー ( Haute Parfumerie Philippe K. ) の更なる発展に力を入れることですね。』
Philippe K. のキャンドルはどんな香り?
Philippe K. 第一号のキャンドルはフィリップの生まれ故郷、スリランカへと誘う香りを再現しています。メキシコの弾けるようなライムの香りから、ソマリアの乳香、そしてミステリアスで香り高いラプサンスーチョン(茶葉)が丸みと温もりを与えます。
アンバーやムスク、ペルーバルサムという穏やかな甘みを持つ樹脂が絹のように美しく包み込みます。世界各地から集められた高品質の原材料で、「信仰の厚い人々が好意的なスリランカを表現しました。」とフィリップは言います。
本物にこだわるフィリップのキャンドルは、100%植物性の蝋で出来ています。ロサンゼルスで開催される香水コンクールで2015年、2016年と連続して最優秀賞を受賞した、イタリア人調香師ルカ マッフェイ ( Luca Maffei ) とのコラボレーションで実に美しい香りを誕生させたのです。
次回作キャンドルがもうすぐ誕生!
2017年秋にはトリロジー( trilogie 3部作)のキャンドル発売を予定しているフィリップ。香りのインスピレーションはインド洋の真珠と呼ばれる、彼が誕生したスリランカだそうです。「香りの旅にご招待します。」とエキスパートはニコリと笑いました。
まとめ
好奇心を忘れない、香りエキスパートのフィリップ クマラ カルト氏のインタビューをご紹介しました。これからの更なる活躍に期待しましょう。
執筆 ふみ