アウトドアでの食事が好きな人が多いフランス人。
野外での食事が気持ち良い気候となる5月から、まだ暖かい日が多い9月までは、機会さえあればバーベキューをしています。今回はフランス人のバーベキュー事情について、ご紹介します。
フランス人はバーベキューで何を焼くの?
日本では、肉類や野菜を並べて焼き、タレをつけて楽しみ、最後は焼きそばでしめるというのが定番な感じでしょうか。フランスでは、バーベキューグリルで肉のみを焼いて、付け合わせのサラダやラタトゥイユなどの野菜料理を別で用意しておくというのが定番です。
切って取り分ける用の1kgや2kgもあるような大きな牛肉(le bœuf)の塊、マリネした、鶏肉(le poulet)や豚肉(le porc)、鴨の胸肉(le magret de canard)、各種ソーセージ(les saucisses)(※la saucisse:主に火を通して食べるもの、le saucisson:主に火を通さずに食べるもの)などを焼いて楽しみます。バーベキューの季節中、スーパーや肉屋さんでは、肉と野菜を交互に刺したようなバーベキュー用の串刺し(les brochettes)も多く用意されています。
ソーセージには様々な種類があり、スタンダードなソーセージのシポラタ(le chipolata)、ハーブ入りソーセージ(la saucisse aux herbes)、元々は北アフリカの食べ物であった香辛料たっぷりのメルゲーズ(la merguez)、バスク地方のくせのあるエスプレット唐辛子(le piment d’Espelette)を使ったソーセージ(la saucisse au piment d’Esplette)などがよく登場します。
シーフードも好まれ、エビやホタテ貝、またこれらの食材や魚を使った串刺しが登場することもあります。
マリネなどで肉や魚にすでに味がついている場合もありますが、自分で塩、こしょう、マスタード、ベアルネーズソースなどで味付けして食べることが多いです。
ガスと炭火、どちらがお好み?
炭火を使ったシンプルなグリルが主流ですが、ガスグリルも人気です。バーベキューの季節の間は、スーパーや日曜大工のお店(le magasin de bricolage) 、ガーデニングショップ(le magasin de jardinage)の店頭に炭の袋が山積みになっています。
フランスの庭がある家庭には必ずバーベキューグリルがある!と言っても過言ではありません。多くのキャンプ場や貸別荘などでもバーベキューグリルが完備されているほど、バーベキューはフランス人にとって重要なのです。
マンションやアパートでは管理組合の規則でバーベキューが禁止されていることが多いですが、火を使わない電気式グリル(la plancha électrique)でソーセージなどをベランダで焼いて楽しむ人も多く見かけます。
バーベキューグリルを使ってスモークサーモンを作ったり、鳥の丸焼きができるようにするための様々なオプショナルアイテム、バーベキューの各種手入れ道具、バーベキュー用の鍋つかみからエプロンまで、フランスにおけるバーベキュー関連市場は一大ビジネスとなっています。
バーベキューの準備のタイミング
バーベキューをする際は、ほとんどが大人数での食事ということもあり、まずはアペリティフ(l’apéritif)、またはアペロ(l’apéro)と呼ばれる食前酒のひとときから始まります。
アペロでお酒やおつまみと共にみんなが談笑するかたわら、主催者はお酒が入ったグラスを片手に、バーベキューの火を起こします。そして、頃合いを見て、食材を焼き始めます。アペロを終了して、食事をするテーブルに移動し、前菜をゆっくりと食べながら、食材が焼けるのをのんびりと待ちます。
バーベキューは食事のメインを調理するグリルという位置付けであることが多く、通常の食事と同様に、その後チーズ、デザートと続くことも多いです。
まとめ
フランスの夏の食事にはバーベキューがよく登場します。子供からお年寄りまで、家族や友人とともに時間をかけて楽しむのがフランスのバーベキューです。
フランス人にとって、バーベキューはアウトドア好きな人のイベントというよりも、夏の食事スタイルという解釈に近いかもしれません。
執筆者:YUBO