フランス在住の私が感じているのが、「フランス人はカップルで過ごす時間を大切にしている」ということです。また、社会との関わりの中でカップルで参加する場面も多くあります。では、その中でパートナーのいないおひとり様たちはどのように感じているのでしょうか?今回は、フランスのカップル文化とおひとり様事情をレポートします。
カップル社会のフランス
フランスで暮らしていると、カップル解消後にわりとすぐに別のパートナーができる人をよく見かけます。他に好きな人ができたから別れるというケースも……。「恋愛はお休みして、しばらく一人の時間を楽しもう。」という期間は短く、その切り替えの早さにびっくりするほどです。
彼らの話ぶりを聞いていると、観念の根底がカップルでいるのが当たり前という印象を受けます。いい人を見つけるためにあれこれ条件を出して探すというよりは、身近に悪くない人がいたらとりあえず付き合ってみるという順番のようです。これならお互い気軽に交際をスタートできるのも納得です。
パーティーはカップルで参加が当然!
また、社会的な関わり方として、フランスではカップル単位でディナーやパーティーに呼ばれることが頻繁にあります。パートナーの仕事や友人関係の集まりなどです。自分に直接関係がなくても、カップルとして参加するのが当たり前のようです。
一人での参加も、もちろん問題はありません。しかし、カップルで参加のほうが気分的にも心強いと感じるフランス人が多いように思います。
おひとり様の思いや考え方は人それぞれ
フランス語でおひとり様を表す言葉は、一人を表すソロ ( solo ) 、または独身という意味のセリバテール ( célibataire ) を使います。私にも何人かおひとり様の友人がいるので、彼らの思いを一部紹介したいと思います。
① おひとり様生活は最高の贅沢 50代女性
彼女と話していると “Grand luxe” という表現をよく使います。「すごい贅沢」という意味で使われる言葉で、彼女はおひとり様生活を最高の贅沢だと言っています。
自分のフィーリングに合う人がいれば、お付き合いも興味がある。しかし「カップルの惰性での共同生活は絶対に嫌だ。」と言っています。「私の両親のようにはなりたくないの。」と何度か口にしていました。
いろいろなことに興味を持ち、趣味の友人も多く、面白そうなイベントには単独でふらりと参加する行動派の彼女。誰かに縛られず自由な生活を楽しめることにフォーカスし、おひとり様ライフを満喫中です。
② 社会からはみ出しているように感じる 40代女性
彼女は、カップルでいることに興味はあるけれど、嫉妬やお互いの価値観の違いに悩むことが多く、恋愛中は気が休まらないタイプ。
「自分は、やっぱり世間からははみ出した存在なのかも。」と言う彼女。話を聞いていると、自分の両親から「子どもを持ち、家庭を築くことが幸せ」という価値観の影響を受けているようで、それに当てはまらない自分への自己評価が少し低めです。
ルームメイトと猫2匹との共同生活をし、思い立ったら海外旅行に行くなど、彼女なりにパートナーがいない暮らしに楽しみを見つけているようです。
③ おひとり様は肩身が狭い 40代男性
彼の週末の楽しみは、レストランでの食事。いろいろな街のインド料理屋さんに一人で訪ねています。「いつも”一人”と言うと、店員さんにびっくり顔で二度は聞き返されるんだ。」と憤慨する彼に対し、「人数を聞くのは、どの席に案内するか決めるためだよ。」と私。
しかし、彼は肩身の狭さを感じているようです。「一緒にレストランに行ってくれる女性が現れるといいんだけどね。」とパートナー探しの意欲はある彼。しかし、女性が多い職場のためか、女性同士のいざこざに巻き込まれてエネルギーを消耗することも……。そんなこともあり、女性への関わりに積極的になれないのかもしれません。
一人でサイクリングを楽しんだり、思い立ったら小旅行など、マイペースに独身生活を楽しんでいるようです。
①~③の各々の自己評価は異なりますが、さまざまなルーツの人たちが一緒に暮らすフランスでは、価値観もそれぞれ違います。今現在、自分の選択はこれで良かったと思えていれば、周りがあれこれ言うことではないのかもしれません。
まとめ
フランスでは、結婚とは別の民事連帯契約制度のPACSを利用している人も多いです。今更「結婚しているか?独身か?」という質問は、フランス人には大きな意味を持たないと感じます。しかし、パートナーがいるか、一人か、というのは制度の枠組みとは別であり、人生を送るうえで大切なことと捉えている人が多いです。特に、シニア層のパートナー探しはかなりアクティブです。「独り身は寂しい、誰かと人生を分かち合いたい」という、強い思いの表れといえるでしょう。
執筆 YUKO