フランスに旅行やお仕事で来られた方は、フランスの香り文化に触れたことがあるかもしれません。メトロやお店、人が行き交うところでふいに香水の匂いがして驚くことも。フランス人は香りをこよなく愛していることが、生活を通して感じることができます。今回は、フランス人と香りをテーマにレポートします!|
子どもや男性も香水を親しむフランス
香水というと、女性が好んでつけている印象がありますよね。しかし、フランスでは女性に限らず男性や子どもなど、老若男女問わず香水は身近な存在なのです。チェーン展開しているコスメショップに行ったとき、お気に入りの香水をリピート買いしている50代くらいの男性を何度も見かけたことがあります。
子どもの場合は女の子が中心ですが、軽やかな香りのものからスタートしています。例えば、小学生のお誕生日会でオードトワレを選んでプレゼントに持ってくる子がいます。オードトワレは香水より優しくほのかな香りで気軽につけられるので、ビギナーさんにはぴったりです。
香水は、お誕生日やクリスマスなどの贈り物の定番としてよく選ばれています。気づけば私のドレッサーも数種類の香水に占領されている状態で、どれもプレゼントで頂いたものばかりです。
テレビでも有名ブランドの香水のCMがよく流れますし、街中でも香水のポスターをよく見かけます。いかに香水がフランス人の生活に溶け込んでいるのかがわかりますね。
人のイメージを印象づける香りの力
フランス人と話をしていると、若い世代はオードトワレやスプレータイプの軽い香りを好む傾向があるのだなぁと感じます。いろいろな香り試してみたり、TPOに合わせて香りを変えたりするのを楽しみたいようです。
やがて社会人世代になると、その経験をもとに自分の好きな香りを決めていつも同じ香水をつけるようになるそうです。香りを自分のパーソナリティの一部として利用する、と捉えるとわかりやすいかもしれません。匂いによっては「あ、この香りはあのブランドのものだ!」とわかる香水もあるので、香りで存在感をアピールできるのです。
例えば、すれ違いざまにふわりと心地よい香りを漂わせている人に出会うと、香りを上手に自分のものにしているなぁと、そのセンスの良さに思わずうっとりさせられることもあります。また、時がたってもその香りを嗅ぐとあの人を思い出すなんてことも出てくるのです。
実は私自身は無臭に慣れているせいか、フランス人の香水の匂いに驚かされる場合もあります。ときどき、かなりしっかりと香水をつけた方とすれ違うと、思わず鼻呼吸を止めてしまうことも……。
日常の中にも香りはいたるところに
洗濯洗剤や食器用洗剤など日用品も香り付きのものが多く、選ぶのに迷ってしまうこともあります。フランスの定番はラベンダー、オレンジ、レモン、フランボワーズ、グレープフルーツ、バジリコ、ミントの香りです。メーカーは、定期的におもしろいキャッチコピーと併せて新しい香りを販売しています。
2025年現在は、日本の桜、モロッコのオレンジの水、ボラボラのモノイの花など、さまざまな香りの衣料洗剤が販売されています。なんだか旅気分を味わえそうなラインナップですよね。
また、フランス人の香り文化を、私のお気に入りのティーサロンで発見しました。そこは茶葉の販売だけでなく店内でお茶も飲めるティーサロンで、茶葉を買いに来ている方に香りをテイスティングしてもらっている姿を見かけます。皆さん、真剣に嗅ぎ比べています。
イートインでお茶を頂くにしても、自分が選んだ紅茶の香りを楽しめるように茶葉をお茶とは別に添えて持ってきてくれます。味だけでなく香りもしっかり楽しんでほしいというコンセプトのようです。
まとめ
好きな香りに包まれるとリラックスできますし、気持ちを安定させてくれます。また、香水はフランス人にとって身だしなみのマナーの1つでもあり、自己アピールのツールのとも言えるでしょう。強い香水を嗅ぐと、つけ方にもその人のセンスが表れているなと感じます。フランス人のように、私たち日本人も日々の生活の中で香りを取り入れると、心豊かにもっと日々を楽しめるかもしれませんね。
執筆 YUKO