「花の都」パリ周辺の桜のお花見スポット3選

2022.04.07

(ソー公園の桜)

パリは「花の都」と言われますが、ネット上にあふれるパリの写真はエッフェル塔やセーヌ川が多く、花にあふれたパリの写真はあまり見ないような気がします。ですがもちろん春はフランスでも花の季節で、街には人が溢れ、いつも以上に華々しくなります。

そして日本より見頃は1ヶ月近く遅いものの、パリやパリ近郊でも桜が見られるスポットがいくつかあります。そこで今回は、私が実際に行ってみて綺麗だったお花見スポットを3ヶ所ご紹介したいと思います。

 

フランス人は花見よりピクニック

太陽が大好きなフランス人は、春になると日の当たる座れる場所を見つけるとところかまわずピクニックを始めます。ロックダウンだった昨年の春でさえ、「日用品の買い物」とか「犬の散歩」といった理由をつけて、多くのフランス人が外に出てピクニックをしていました。

ですが「花見」に相当する習慣はフランスにはなく、フランス語の訳語も見当たりません。公園には花も植えられていますが、その花を愛でるというよりも、むしろ暖かくなってきたからみんなでわいわいピクニックを楽しもうという意識です。

ほとんどは西洋桜

日本人にとっての典型的な桜といえるソメイヨシノは少なく、ほとんどがサクランボのなる西洋桜や八重桜です。フランス語で西洋桜のことを Cerisier、サクランボのことを Cerise ということを考えると、サクランボのなる木が桜と認識されていると言えるでしょう。

昨今の日本ブームで「Sakura」という単語も浸透してきてはいるものの、日本の桜を指すときには「Cerisier du Japon(日本の桜)」とわざわざ「日本の」と形容詞をつけて表現します。

フランス 花見 ピクニック
(春になるとところかまわずピクニックが始まる)

 

パリ周辺の花見スポット

パリ5区のパリ植物園 Jardin des Plantes

まずはパリ5区にあるパリ植物園 Jardin des Plantes です。パリ植物園の桜は日本から送られたものですが、日本のソメイヨシノより白っぽい花を付けます。

植物園なので芝生に座ってピクニックや日本のようなお花見はできませんが、桜以外にもさまざまな花を見ることができます。また、園内には小さな動物園や自然史博物館もあるため、飽きることなく一日を過ごせます。

パリ20区のペール・ラシェーズ墓地 Cimetière de Père Lachaise

パリ20区にあるペール・ラシェーズ墓地 Cimetière de Père Lachaise の桜も大変きれいです。お花見スポットとしてはあまり有名ではないかもしれませんが、桜もたくさん植えられており、春になるとおよそ墓地のイメージとはかけ離れたカラっと明るい景色が広がります。

ここはエディット・ピアフやモディリアーニ、オスカー・ワイルド、ショパンなど多数の有名人も眠っている市内最大の墓地です。そのためお墓目当ての観光客もいますが、パリ中心部の公園などと比較すると人も少なく、ゆっくり過ごすことができます。

フランスでは、墓地は暗い・寂しいイメージを連想させるものではなく、公園の一種と考えられています。特に広々とした場所が少ないパリでは憩いの場となっており、散歩やピクニックをしている人は多いです。そのため墓地周辺の地価は日本とは逆に、むしろ上がる傾向にあります。

パリ郊外のソー公園 Parc de Sceaux

(ソー公園の桜)

パリ在住の日本人の間で花見スポットとして有名なのは、パリ郊外のソー公園 Parc de Sceaux です。郊外といっても RER(近郊鉄道)でパリ中心部から20分ほどです。

この公園は、もとはルイ14世の右腕であった宰相のコルベール(Jean-Baptiste Colbert)が17世紀に建てた邸宅とその庭園です。現在、邸宅は美術館になっています。

ヴェルサイユ宮殿の庭園も手がけたルノートル(André Le Nôtre)により設計された庭園は、芝生や深い森、運河、噴水など様々なエリアがあり、どの季節に来ても違った表情を見せてくれます。夏には野外オペラも行われ、一層優雅な雰囲気となります。

この公園の一部に、100本ほどの八重桜が植樹されたエリアがあります。来園者はヨーロッパ人が多数ですが、お花見シーズンには在住日本人もたくさん訪れます。

八重桜なので、見ごろは日本の花見シーズンより遅い4月下旬頃です。触れられるくらい低いところまで下りてきた桜の下にいると、日本でお花見をしているような気分にさせてくれます。

 

フランスで「Hanami」は広まる?

今回ご紹介した場所はアクセスしやすく、桜以外にも見どころがあるので桜の時期でなくても魅力的です。

フランス人にとって桜はあくまで多種多様な花のひとつであり、良い意味で特別な思い入れがないため、日本のように有名な花見スポットがあるわけではありません。そのため場所取り合戦になるほど混雑することもなく、日本よりも落ち着いて花見ができるような気がします。

私の友人の中には、日本の漫画やアニメを通して「Hanami」という言葉や日本の習慣を知ったという方もいます。日本語の「Hanami」をフランスで聞く機会はまだあまりありませんが、今後日本ブームが続くと、ピクニックの亜種として「Hanami」も広まるかもしれません。

執筆 Takashi

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