フランス 運転免許証を電子化 2024年に全土で利用可能へ

2023.05.18

5月16日(火)、自動車の運転免許証について、電子化が本格手に進められることが明らかになりました。現在は一部の地域で試験的に利用されていますが、年末までに一部地域での本格的な導入、そして2024年初頭にはフランス全土で利用できるようになる見込みです。

フランスでは現在、ICチップ入りの運転免許証が使用されています。今後、希望者は免許証や身分証明書をアプリ上で提示できるようになるとのことです。

 

アプリで運転免許証を提示可能に!

フランスの国家安全保障機関(Agence nationale des titres sécurisés, ANTS)は16日、ル・パリジャン(Le Parisien)誌にたいし、運転免許証の電子化を導入することを確認しました。

フランス・イドンティテ(France Identité)

電子版の運転免許証は、フランス・イドンティテ(France Identité)上で利用可能になります。フランス・イドンティテは2022年5月11日よりベータ版が公開されているアプリケーションです。

身分証明書、パスワード、アプリの3点を連結させることで、さまざまな分野での本人確認の便宜を図ることを狙いとしています。

利用には、以下の手順が必要です。
1.アプリをダウンロードする(現在iOS、Androidで利用可能)
2.アカウントの作成
3.アクティベーションコードを申請
4.郵送でアクティベーションコードを受け取り、QRコードを読み取って6桁のパスコードを作成
5.アクティベーション完了

アプリの利用には、条件を満たす身分証明書(氏名、生年月日、写真などを含む)と、非接触型の通信が可能なスマートフォンが必要です。アップル製の場合は2016年発売のiPhone7以上のモデル、アンドロイドの場合はAndroid 8以上のモデルが対応しています。

ベータ版での導入実験

フランスではすでに、約5,000名がフランス・イドンティテのベータ版を試験的に利用しています。

とくに、南部のローヌ県(Rhône)、パリ西部のオー=ド=セーヌ県(Hauts-de-Seine)、ウール=エ=ロワール県(Eure-et-Loir)の3つの地域圏では、電子版の運転免許証を試験的に使い始めています。

運転中に警察から求められた場合、アプリ上の免許証を提示するとスキャンして情報を確認することができます。

2024年までに全土へ拡大

今後、電子版の運転免許証は、2024年までに全土で導入することを目標として、拡大されていく予定です。

身分証明書も電子化へ

身分証明書も、今後アプリ上で提示できるようになる見込みです。導入により、スマホ一つで投票に行くことができるようになります。

今後はや滞在許可証、パスポートも追加される見通しですが、現時点では、外国に行く場合、運転免許証や身分証明書を携行することが必要です。

 

利用のポイント

フランス・イドンティテのサイト上では、電子版の身分証明書にかんするさまざまな質問と答えを読むことができます。この中からいくつか見てみましょう。

利用は義務なのか?

電子版の身分証明書の利用は、義務ではありません。すべての人が利用できるかどうかを選択でき、紙面や窓口でのやりとりを希望する場合は従来通り利用できます。

利用はすべて無料です。

データは保護されるのか?

すべての情報は暗号化された状態で収集されます。電子版の証明や免許証の利用には、パスコードを入力する必要があり、これは本人のみが知る身分証明書と結び付けられています。

読み取りには、毎回新しく本人確認が行われます。そのタイミングで、データの盗用、紛失、複製が行われていないかが確認されます。

さらに、データは政府当局によって認証されます。そのため、登録されたデータはすべて統合された形で体系的に管理されています。

なお指紋認証データは非接触型のICチップとは別途で管理されています。フランスでは指紋にかんするデータは、政府の限られた機関や職員にしかアクセスすることができません。

データは商用利用されないのか?

収集されたデータはすべて身分証明のために利用され、商用目的や広告目的に使用されることはありません。

データ利用は法律(*)で規制されています。
(*)データ保護にかんする法律第78-17号の第32条。独立行政機関である情報処理及び自由に関する国家委員会(Commission nationale de

位置情報は抜き取られないか?

ICチップは、位置情報にかんするデータを一切含みません。

スマホを失くしてしまったらどうしよう…

データの暗号化のメカニズム、本人確認のプロセスにより個人のデータは保護されます。しかし紛失や盗難を当局に伝えることで、データ侵害のリスクから守ることが可能です。

執筆あお

France Identité L’application France identité, disponible en version bêta
France Identité Questions fréquentes
国立国会図書館 調査及び立法考査局 「立法情報【フランス】個人データの保護に関する法律」『外国の立法 No.277-1(2018.10)』(リンク

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