パリ・オペラ座バレエ団 アフリカ系初の「エトワール」に、ディオップ氏 日本人初のオニール八菜さん

2023.03.15

3月11日(土)、パリ・オペラ座バレエ団(Ballet de l’Opera national de Paris)は、23歳のギヨーム・ディオップ(Guillaume Diop)氏をバレエ団最高位のエトワールに昇格することを発表しました。

また、3月2日(木)に同バレエ団は、オニール八菜(Hannah O’Neill)さんとマーク・モロー(Marc Moreau)氏を、新たにエトワールに昇格させています。

ディオップ氏はアフリカ系のダンサーとして初めて、オニールさんは日本人として初めての快挙です。

 

パリ・オペラ座バレエ団

パリ・オペラ座バレエ団は、1661年にルイ14世によって創立され、ロイヤル・バレエ、ボリショイ・バレエ、マリインスキー・バレエと共に世界4大バレエ団のひとつとされる由緒あるバレエ団です(こちらの記事も是非!「動画で観ようパリオペラ座バレエ団!日本人の団員や階級などもご紹介」)。

このバレエ団は、パリ9区にある「パレ・ガルニエ」(Palais Garnier)や、12区のオペラ・バスティーユ(l’Opéra Bastille)を中心に活動しています。

団員の階級制度

パリ・オペラ座バレエ団では、5つの階級があります。

第5階級から第1階級までそれぞれ、カドリーユquadrille、コリフェcoryphée、スジェsujet、プルミエpremier danseur/première danseuse、エトワールétoileという名前で、上の階級に上がるためには、厳しい試験を突破する必要があります。

現在151名の団員のうち、最高級のエトワールは18名のみと、狭き門です。

 

期待の星ディオップ

ディオップ氏は今回、若干23歳でエトワールに昇格した、期待の星です。アフリカ系の団員としては、歴史上で初めてだといいます。

エトワールへの昇格にあたり、ディオップ氏は前の級であるプルミエを飛ばしていることも話題になっています。

これは1985年のロラン・イレール(Laurent Hilaire)、1986年のマニュエル・ルグリ(Manuel Legris)、2004年のマチュー・ガニオ(Mathieu Ganio)につづく異例のことです。

早くから才能を開花

ディオップ氏は、2000年にパリで生まれ、4歳でパリ18区の音楽院に入学しました。2012年にパリ・オペラ座バレエ団に入団し、2018年にはコール・ド・バレエ(corps de ballet、群舞のメンバー)に選ばれています。

2021年6月にカドリーユだったディオップ氏は、代役として『ロミオとジュリエット』のロミオを演じて話題となります。また、2021年12月には『ドン・キホーテ』で再びバジリオ役を演じ、大成功を収めました。

その後は『ラ・バヤデール』のソロル役、また『白鳥の湖』の主役などを演じており、エトワール昇格が期待されてきました。

涙の昇格

発表は韓国での『ジゼル』の講演後に行われました。この日、LGソウル・アーツ・センター(LG Arts Center de Séoul)でディオップ氏は、エトワールのドロテ・ジルベール(Dorothée Gilbert)の相手としてアルブレヒト役を演じていました。

昇格は噂されていたとはいえ、ル・フィガロ誌のインタビューでは、「まったく予想していなかった」と答えています。ソウルで正式に発表された際には、涙を流して挨拶している姿が印象的でした。

人種差別抗議運動家

ディオップ氏は人種差別への抗議活動でも知られています。これはアメリカを中心とする「ブラック・ライブズ・マター(#BlackLivesMatter)」と同時期から注目されている運動です。

ディオップ氏は、2020年の『パリ・オペラ座における人種問題』にかんする声明に署名した5名のうちのひとりであり、積極的にこの問題に関与してきました。

一方、昨年より芸術監督を務めるジョゼ・マルチネス(José Martinez)氏は、ディオップ氏の才能に長く注目しており、ル・フィガロ誌に対しては、「肌の色を理由に彼を任命しないということは考えたこともなかった」とコメントしています。

 

日本人初エトワールが誕生

3月2月には、ガルニエ宮での『バレエ・インペリアル』公演にて、世田谷区出身でニュージーランドの父をもつオニール八菜さんが、フランス人のマーク・モロー(Marc Moreau)氏とともにエトワールに昇格することが発表されました。

オニール八菜さんは、2009年にはスイスのローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した実力者です。パリ・オペラ座バレエ団の団員の多くは、付属のバレエ学校を卒業しているところ、外部からの入団を果たしたとして注目されてきました。

2011年にコール・ド・バレエに選ばれ、2014年にコリフェ、2015年にスジェ、そして2016年にプルミエールと順調に昇格しています。

 

男性デュオに期待!

ディオップ氏は、4月21日から5月28日までオペラ・バスティーユで行われる公演『さすらう旅人の歌(Chant du compagnon errant)』に出演予定です。

オニール八菜さんと同時にエトワールに選ばれたモロー氏との男性デュオが見られる貴重な機会とされ、期待が高まります。

執筆あお

参照
Opéra national de Paris Étoile – Guillaume Diop
Opéra national de Paris Étoile – Hannah O’Neill

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