フランス政府 コロナ検査費用ジワリ削減へ オミクロンで膨張

2022.02.18

 

フランス 薬局

2月18日(金)、フランス政府は健康保健局にかかる膨大なコロナ検査予算の削減を図るため、薬局に支払うコロナ抗原検査費用を今月15日より1件あたり24ユーロ(約3,120円/1ユーロ=130円)から20ユーロ(約2,600円)に引き下げました。コロナ第五波ピーク時の新規感染者数が1日30万人に到達、現在も10万人前後で推移していることから膨大な検査費用がかかっています。

 

検査の有料化を避けつつ、予算縮小へ

フランスではワクチン接種完了や症状があるなどの条件付きで、基本的にコロナ検査(PCR検査、抗原検査)は無料で提供され、健康保険局が検査機関に費用を支払います。

主に抗原検査を行う薬局へ支払われる検査料は、今回の決定で24ユーロから20ユーロに下げられました。

20ユーロのうち15ユーロ(約1,950円)は検査費用として、5ユーロ(約650円)は感染経路追跡データの入力費用として支払われます。

値下げは検査を行う機関だけでなく、抗体の分析を行う機関に支払う料金も1件あたり9.4 ユーロ(約1,222円)から 5.4ユーロ(約702円)に下げられました。

ピークアウトのタイミングで値下げ

フランスの新規感染者は現在ピーク時の約3分の1となり、1日あたり10万人を切っています。感染者減少が続く中での値下げは理にかなっており、絶妙のタイミングだったと言えます。

 

1ヶ月で16億ユーロ、ほぼ1年分の予算使う

フランスの感染第5波のピークとなった1月ですが、第4週には感染者数が1日30万人に到達したことから、この1ヶ月だけで16億ユーロ(約1,090億円)と2022年のほぼ1年分の予算が使われています。

ちなみに1月に行われた検査は全部で460万回、そのうちの310万回が薬局などで行われる抗原検査でした。

コロナ勝ち組の薬局

コロナ感染対策の最前線で抗原検査とワクチン接種を行う薬局ですが、2021年の売り上げは感染者増とともに右肩上がりで増え、昨年1年間の利益は18億ユーロ(約2,357億円)に上ります。

薬局業界は政府の値下げに対し、形ばかりの「不満」を表明してはいるものの、検査料の値下げは想定内であったと言えます。

 

3月中旬にさらなる値下げ

薬局や検査機関に支払われる料金の値下げはすでに何度も行われています。

薬局で販売されている「自主検査キット」は5.2 ユーロ(約676円)から大人用3.5ユーロ(約455円) 、子供用4.1ユーロ(約533円)に値下げされています。

大人には一部のケースを除き有料で販売されている検査キットは、未成年者に関しては全て健康保険局によってカバーされるため無料で提供されます。

学校での自主検査3回から1回へ、費用削減

特に利用が多いのは学校で、クラスで陽性者が出た場合、濃厚接触者となった生徒は検査キットで自主検査を行う義務があります。

これまで濃厚接触者となった生徒は自宅待機となり、復帰まで3回の自主検査を行う必要がありましたが、2月28日から1回に減ります。これにより自主検査キットにかかる膨大な費用の軽減を図ります。

爆発的な感染拡大による検査需要に答えるため、「自主検査キット」は薬局業界の反対を押し切ってこれまでスーパーマーケットでも販売が許可されていました。

政府は「値下げの代償」として「自主検査キット」の販売を薬局独占に戻すことを約束しています。

執筆:マダム・カトウ

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