1月7日(金)、フランスの医療予約サイト『ドクトリブ』(Doctolib)は、4日(火)のマクロン大統領の未接種者への「脅し」とも取れる規制強化発言を受け、今まで1度も接種していない未接種者の接種予約が1日で約27,000人入ったと発表しました。
ワクチン未接種者を「困らせる」対策をとる、マクロン大統領が問題発言
『ドクトリブ』は大統領の規制強化発言の翌日に、1回目接種者の予約としては昨年の10月以来最も多い27,710件を記録しました。予約はその後も増え続けています。
その結果、昨日6日(木)一日だけで53,636人が1回目の接種を受けました。
パリ北部の接種センターの看護師は「確かに直近の空いている時間帯が急に1回目の接種予約で埋まった」と、これまでワクチン接種に抵抗していた人たちが急に接種に来たことを裏付けるような発言をしています。
フランスにおけるワクチン接種数全体が多い日は1日数十万件あったことからすると、確かに驚くような数字ではありませんが、1回目接種数だけで見ると前週同日に比べ52%も増えています。
マクロン大統領、ワクチン未接種者への苛立ち隠さず”emmerder”
マクロン大統領は4日、仏有力紙ル・パリジャン(Le Parisien)が主催した同紙読者と大統領の交流の場で7人の市民と意見交換をしました。
その際、感染拡大の勢いが止まらないコロナ対策に関して、ワクチン未接種者を「徹底的に困らせる」ような規制を導入すると断言しました。
この発言が特に物議を醸し出したのは、その内容のみならず「困らせる」発言の際、通常使われるであろう”embêter” (困らせる、うんざりさせる)の代わりに、”emmerder”というかなり強く下品な俗語を使ったからです。
国会では野党からは「選択の自由」への攻撃と批判の的になっていますが、一方で「庶民的」なイメージを出す政治的パフォーマンスとの声も上がっています。
12歳以上未接種者あと500万人「徐々に囲い込み」、ヴェラン保健相
ヴェラン(Olivier Véran)保健相は昨日の記者会見で「すでに66,000人の未接種者が新たにワクチン接種者に加わった」と歓迎しています。
保健相は未接種者を接種に向かわせた要因を分析し、一つは1日20万人以上という「いままでにない感染の脅威」、もう一つはワクチンパスポートの導入が近く予定されていること」だと述べています。
12歳以上の未接種者は510万人ですが、この数は日に日に減ってきています。
接種予約の年齢層を見ると、接種開始から間もない5歳〜11歳が全体の20%以上を締めていますが、驚くことに重症化リスクの高いため優先的に接種を行って来た60歳以上の1回目予約が8.5%をも占めています。
ヴェラン大臣は「集中治療室に占める未接種者の割合が多すぎる」ため、「一人でも多く接種させる必要がある」と危機感をあらわにしています。
PCR検査「パンク状態」
フランス薬局連盟会長のフィリップ・ベセ(Philippe Besset)氏は、PCR検査や抗原検査を行う薬局は短期間で十倍以上になった感染者増に直面し「忙しくて首が回らない状況に陥っている」と訴えています。
検査結果が陰性でも取得可能だった「コロナパスポート」では感染急増に対応できなくなっており、接種せずに検査に頼るのは限界にきている様子が伺えます。
大忙しの接種会場に「改心派」も現れる
1回目接種の急増について「大統領の発言というより、ワクチンパスポートの導入が決まりそうだからだと思う」とパリの接種会場で働く看護師は語っています。
「忙しすぎて接種にきた理由を聞いている暇はない」し「聞く気もない」そうですが、その中でも彼女の注意を引いたことがあります。
「偽造のワクチン証明を持っていた人が、『悔い改めて』接種に来ているわ」
「ワクチンパスポート義務化」案、本日下院通過
「ワクチンパスポート義務化」案は、徹夜の審議の後、本日下院を賛成214の大多数で通過しました。
執筆:マダム・カトウ