仏ルイ・ヴィトン LVMHグループ コロナ禍で過去最高益  2021年上半期

2021.07.27

ルイヴィトン

7月27日(火)、ルイ・ヴィトンLouis Vuitton、ディオールDiorなどのラグジュアリーブランドを傘下に擁するファッション業界最大手企業LVMHグループは、コロナ禍が続くなか売り上げを伸ばし、今年上半期の経常利益は2019年同時期の44%増の好成績となったと発表しました。

 

ルイ・ヴィトンが牽引、過去最高益

今年の上半期の売り上げは287億ユーロ(約3兆7,209億円/1ユーロ=約130円)で、昨年2020年対比で約53%増、2019年比でも11%増となっています。

経常利益は76億ユーロ(約9,853億円)で対2019年比で44%増となり、これは昨年の4.6倍に当たります。当期純利益は2020年の10倍に当る53億ユーロ(約6,871億円)で、2019年対比でも62%増の好成績を残しています。

これについてベルナール・アルノー(Bernard Arnault)社長は、LVMHグループがラグジュアリー市場において「優位性が高く」2021年通年で「さらなるイノベーションと投資」を世界的に進めて行くと述べています。

傘下ブランドへの強気の投資戦略

その一環として、LVMHグループは6月23日、フランスの伝統ある高級デパート「ラ・サマリテーヌ」(La Samaritaine)を再オープンしました。

総工費75万ユーロ(約9,700万円)をかけ、計画より10年遅れてやっと着工し数年に渡った工事の末に、ようやく完成したこの店には多数のラグジュアリーやデザイナーズブランドが揃っており、オープンから現在までですでに60万人が来店しています。

また、LVMHグループ傘下シャンパンメーカーのモエ・エ・シャンドン(Moët & Chandon)社はテキーラ市場に参入、イタリアの高級靴ブランド、トッズ(TOD’S)への増資を行い、ルイ・ヴィトンは、日本と中国でファッションショーを開催するなど、強気の戦略を行っています。

 

中国市場が牽引しコロナ禍「すでに克服」、LVMH社

「もうコロナ禍を克服してしまったようだ」と、LVMH社のジャン=ジャック・ギュイオニー(Jean-Jaque )氏はこの「異例」の展開に喜びを隠せない様子でコメントしています。

「消費者の購買欲は予想を上回るもの」で、特に中国マーケットが顕著に伸びています。

中国の富裕層、旅行に行けず消費でストレス解消

コロナ禍で移動が制限され、本来行くはずだった海外旅行に行けないため、富裕層がストレス解消に中国国内での買い物に殺到したことが大きく貢献しています。

同社にとって嬉しい悲鳴ですが、突然の需要増で在庫の供給が追いつかなくなったり、コロナ禍で商品を製造するフランス、イタリア、スペインなどからの送料の大幅な値上げが行なわれコスト増になる等の問題も発生しています。

人気ブランド売り上げ増も、DUTY FREEの一時閉店で打撃も

世界中の旅行需要が大幅減となる中、ルイ・ヴィトン、ディオール、フェンディなど、LVMHグループの革製品・ファッション部門は過去2年間で売り上げを38%も伸ばしています。更に営業利益は対2019年比で実に74%増となっています。

とは言え、同グループのセレクトショップなど小売部門は、コロナ感染拡大による政府主導の店舗閉鎖や空港のDUTY FREE(保税免税店)の一時閉店などが響いて2019年から25%の売り上げ減となっています。

収益増は人気ブランドの売り上げ増だけでなく、コロナ禍で広告宣伝費が限定的となり、平常時のように売り上げ増に比例して増えなかったことも理由としてあげられます。

 

欧州一の巨大グループ企業、《ティファニー》再生へ道半ば

2019年にアメリカの宝石品ブランド《ティファニー》(Tiffany)を買収して以来、スイスの巨大食品グループネスレ(Nestlé)を抜いて欧州一の巨大グループとなったLVMHグループですが、今期も積極的な買収に意欲を見せています。

但し、ティファニー買収で約162億ドル(1ドル=約110円/約1兆7840億円)という巨額の投資をした後、まだブランドの「若く力強い再生」が始まったばかりとあって、大型案件にはしばらく手を出さないようです。

執筆:マダム・カトウ

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