1月12日(火)、昨年12月28日から1週間で約96,000人の感染者が出るなど、クリスマス休暇後の感染拡大が続くフランスで、「3回目のロックダウンをすべきなのでは?」という声が上がっています。南仏の大都市マルセイユ(Marseille)では、イギリスからの変異種によるクラスターが発生するなど、急速な感染拡大が警戒されています。
医療関係者、《手遅れになる前に》厳重なロックダウンを
リール市(Lille)パスツール研究所(Institut Pasteur)のパトリック・ベルシュ(Patrick Berche)前所長は、他の複数の感染症専門医と共同で有力紙ル・モンド(Le Monde)に発表した政府への提案の中で、「3度目のロックダウンの必要性」を強く訴えています。
同氏は、感染力の高いイギリスおよび南アフリカからの変異種がすでにフランス国内にも入っていることや、1月の寒波で感染拡大が加速する可能性があることから、「たとえ国民の反感を大いに買ったとしても」早めかつ前回より厳しいロックダウンを行うべきとの意見を発表しています。
政府、ロックダウン含む《シナリオ》協議
現在フランスでは全国的に20時以降の夜間外出禁止令が出ていますが、感染者が急増する国内101県のうち東部25県では、既に外出禁止の開始時間が18時に前倒しされています。
政府スポークスマンのガブリエル・アタル(Gabriel Attal)氏は、「より厳重な対策が必要な都市もあるため、状況に合わせて対応する」が、今のところ「再ロックダウン中のイギリスやドイツなどの近隣諸国はフランスより感染が2〜3倍多い」ため、フランス全土にわたる近々のロックダウンの可能性は否定しています。
カステックス首相は、昨日11日も議会の代表らとビデオ会議を行い、その中で「あらゆるシナリオ」を協議したと発表しています。しかしながら、「学校閉鎖だけはなんとしても避けたい」政府の意向を明らかにしています。
ワクチン接種、フランス全土で138,000人、接種率に地域格差も
フランスのワクチン接種は開始から約2週間でようやく138,351人となりました。地域別にみるとパリを含むイル=ド=フランス(L’Île-de-France)地域圏が最多の30,248人、ロワール地方(Pays de la Loire)が7,002人、ブルターニュ地方(Bretagne)が4,534人となっています。
ところが、住民1,000人当たりの接種人数で見ると、ノルマンディー地方(Normandie)が3.72で最多となり、急速な感染拡大が懸念されるプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール(Provence-Alpes-Côte-d’Azur)地方はと1.33で最下位になっているなど、地域による格差が見受けられます。
執筆:マダム・カトウ