10月6日(火)、一日の感染者が1万人を超える日が続くフランスでは、とりわけ都市部の感染者が急増しています。そのため、パリ市は本日より14日間、バーやスポーツジムの営業を禁止するなど新たな対策が講じられています。
《お酒メイン》の店は禁止、レストランは営業可も規制強化
感染増で営業時間を短縮されたばかりのバーの営業は今日から禁止になりました。9月の異常気象による好天候の影響もあり、パリのカフェやバーは深夜まで若者で賑わっていました。
外に仮設のテーブルを置く店がほとんどですが、店によってはソーシャルディスタンスが守られていたとは言い難く、若者のグループがビッシリ座っていたり、数十人が店の外で立ち飲みをし、騒いでいる店も多々見受けられました。
一方、レストランの営業は本日以降も認められており、閉店時間の制限も今のところありません。
ちなみに、「バー」の定義が曖昧でしたが、「カフェ」の看板を出していても、夜に食事を提供せずアルコールの提供をメインに営業している店は「バー」と同じ扱いになり、今回の営業禁止の対象になります。
レストラン、継続も新たな規制
ロックダウン解除後も、雇用などに大きな影響が出ているレストラン業界に配慮したと思われますが、フランス全国のレストランで下記のような新規制が導入されました:
- 一つのテーブルに6人まで(今までは10人まで可能)
- テーブルとテーブルの間は1メートル以上空けること
- 飲食をする時以外は着席中もマスクを着用すること
- 会計は全てテーブルで行う(一部の店ではカード決済などがカウンターで行われる場合があったため)
- 店に連絡先を渡す(感染者が出た場合に追跡するため)
連絡先の収集には今まで個人情報の扱いが問題視されていましたが、感染者急増で導入を余儀なくされたようです。
感染者増緩やかなドイツ、フランスは第一波の2倍
ちなみにドイツでは、ロックダウン解除後もレストランやカフェ、バーの営業には厳しい規制が行われ、着席するとまず客自身が専用アプリに時間と連絡先を入力する仕組みができています。スマートフォンを持っていない場合も、店は書面などに連絡先を記入して当局に報告し、万が一感染者が店にいたことが発覚した場合、同じ時間帯に店内にいた全てに客に当局から連絡が行く仕組みになっています。
このような徹底した追跡が功を奏したのか、9月後半からフランスでは1日1万人〜1万5千人もの感染者が出ているのに対し、ドイツではその増え方は緩やかで、1日の感染者は2000人〜3000人に留まっています。
フランスの感染者数は第一波の4月1日のピークで7500人でしたが、検査数が増えたこともあり増加の一途を辿っています。
家飲みやプライベートの集まりも警戒
9月23日からパリのバーやカフェが22時閉店になっていましたが、その影響で今度は場所を家に移してパーティーをしたり、公道や公共スペースに集まって飲んだりする人が増えていました。
前回プライベートの貸切パーティは規制の対象になっていませんでしたが、警戒心が下がるプライベートの集まりが感染の温床となることを警戒し、パリ市は、
- 22時以降のアルコールの販売を禁止
- 22時以降、公道での飲酒禁止
を決定しました。
また、家で騒ぐ若者による騒音被害が増加したせいか「22時以降、公道で音楽を流す、および公道で聞こえるような大きな音で音楽を流す」ことも禁止されました。
公民館などを貸し切って行うイベントや学生、プライベートのパーティも禁止され、結婚式は許可されていますが、結婚パーティなど大きな集まりも禁止となりました。
イベント、集会も人数制限
また、公共スペースでの11人以上の集まりは禁止ですが、イベントや集会は規制を遵守すれば1000人まで可能となっています。
そのほか、スポーツジム、フィットネスクラブは引き続き閉まっていますが、公共の多目的スポーツ施設は、18歳未満の子供のみ利用が許可されています。
医療体制逼迫を警戒
現時点で、パリを含むイル・ド・フランス地域圏(Ile-de-France)では、集中治療室の病床の36%が新型コロナの患者で埋まっています。これはフランス地方保険局(ARS:agence régionale de santé)が決めた警戒レベルの目安、30%を超えています。
執筆:マダム・カトウ