台所で見つかった絵画、なんと約29億円で落札

2019.10.29

27日(日)、今年の9月末にフランス北部の街、コンピエーニュ(Compiègne)の住宅の台所で発見された、13世紀に活躍したイタリアの画家チマブーエ(Cimabue/1272-1302頃)の絵画「あざ笑われるキリスト(Le Christ moqué)」が、落札予定価格のおよそ5倍にあたる、2400万ユーロ(およそ29億円/1ユーロ:およそ120円計算)で落札され、世界で最も高価な額で落札された中世絵画となりました。
(写真はWikipediaより引用しました)

 

台所の壁に飾られていた、歴史的絵画

この「あざ笑われるキリスト」は、フランス北部のオ=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)のオワーズ県(Oise)のコンピエーニュに住む女性の家の台所の壁に飾られていたもので、女性はこの絵がいつからあったのか知らず、ギリシャの宗教画だと思い、コンピエーニュのオークション会社アクテオン(Actéon)に連絡したことから、今回の世紀の発見に至りました。

ルネサンス初期の巨匠チマブーエ

チマブーエは、13世紀後半のゴシック期後期からルネサンス初期に、イタリアのフィレンツェ(伊:Firenze/仏:Florence)で活躍したゴシック絵画を代表する画家で、代表的な作品には、ルーヴル美術館(Le Musée du Louvre)に展示されている「聖母と天使たち(La Maestà)」や、イタリアのアレッツォ(Arezzo)のサン=ドメニコ教会(Chiesa di San Domenico)にある、「アレッツォのキリストの磔刑(たっけい)(Crocifisso di San Domenico ad Arezzo)」などが有名です。

アレッツォのキリストの磔刑(Crocifisso di San Domenico ad Arezzo)

「あざ笑われるキリスト」は大きめの本くらいのサイズ

サイズは、25.8 センチメートル×20.3 センチメートルと絵画としては非常に小さく、台所と居間の間にあるホットプレートの上の壁に飾られていたとのことです。

作品はポプラの板に、金箔を背景に使用した黄金背景テンペラという技法が用いられていて、祭壇の後ろなどに飾る2枚折りの絵画の一つで、キリストの受難、十字架に磔(はりつけ)にされ処刑される「磔刑(たっけい)」を描いた8つの同サイズの絵画の一つとみられています。

専門家は、「いくつかの傷みは見られるものの、台所のホットプレートの上に飾られていたにもかかわらず、とても良い状態で保存されている」と述べています。また、「厳格な手法の中にも、顔や動きに感情が読み取れる、非常に新しい手法だ」とも話していて、芸術的、歴史的価値の高い作品であることを強調しています。

 

落札価格は予定のおよそ5倍

今回のオークションでは、落札予定価格は400万ユーロから600万ユーロ(およそ4億8300万円から7億2300万円)と予想されていましたが、最終的にはそのおよそ5倍の、2400万ユーロ、日本円でおよそ29億円もの高値で落札されました。

オークション会社のアクテオンは落札者が誰であるかは明らかにしていません。

中世絵画では世界最高額、絵画全体では8番目

これにより「あざ笑われるキリスト」は、世界で最も高額で落札された中世絵画(西暦1500年以前の絵画)となりました。

また絵画全体としては、 レオナルド・ダ・ヴィンチ(Léonard de Vinci)の「救世主」、ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)の「幼児虐殺」、同じくルーベンスの「ロトとその娘たち」、ヤコポ・ダ・ポントルモ(Jacopo da Pontormo)の「コジモ・デ・メディチの肖像」、レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt van Rijn)の「女性の肖像」、ラファエル(Raphaël)の「ロレンツォ・ディ・メディチの肖像」、 カナレット(Canaletto)の「大運河の景色」に次いで、世界で8番目に高額な絵画となりました。

台所に飾っていた絵が29億円になるとは驚きですが、またそれを落札できる人がいる、というのも驚きですね。

執筆:Daisuke

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