2019年度バカロレア試験が始まる 初日はバカロレア名物、超難題の「哲学」

2019.06.18

6月17日(月)、フランス全土で一斉に、日本の高校卒業資格に当たるバカロレア(baccalauréat)の試験が7日間の日程で始まりました。今年は昨年よりもおよそ1万人少ない、11歳から77歳までの743,000人が受験しています。

 

バカロレアとは

今年で211年目を迎えるバカロレアは、フランスの国民教育省(Ministère de l’Éducation nationale, de l’Enseignement supérieur et de la Recherche)が発行する、中等教育(高等学校教育)修了を認証する国家資格のことで、通称Bac(バック)と呼ばれ、毎年6月にフランス全土で同じ試験が出題されます。

高校卒業時の18歳で受験することがほとんどですが、受験年齢に制限はありません。これまでの最年少記録は13歳でしたが、今年受験している11歳7カ月の受験生が史上最年少記録となりました。

バカロレアの種類

バカロレアは大きく分けると
・大学進学を目指す普通教育課程高校で取得できる、普通バカロレア(Le baccalauréat général)
・工業の専門的な知識を身に付ける工業高校で取得できる、技術バカロレア(Le baccalauréat technologique)
・パンや菓子などの専門知識を身に付ける職業高校で取得できる、職業バカロレア(Le baccalauréat professionnel)
の3つがあり、各バカロレアが更に細かく分類されます。それぞれのバカロレアを取得する為、通常は高校を卒業する前に試験を受けます。

普通バカロレア

大学進学を目指す普通バカロレアには
・文学部門 Baccalauréat littéraire (L)
・経済社会学部門 Baccalauréat économique et social (ES)
・科学部門 Baccalauréat scientifique (S)
の3つの部門があり、この選択がその後の進路に大きく影響するため、高校生にとってバカロレアの選択は非常に重要です。

 

バカロレア初日は、恒例の難題「哲学」

それぞれの部門で受験科目は異なりますが、初日は各部門共通科目の「哲学」が出題されます。この哲学の問題は非常に難解なため、毎年試験翌日にはニュースで出題内容が取り上げられます。

出題された3問の中から1問を選択し、4時間の試験時間で論述します。1問目と2問目は、哲学に関する問題が短文で出題され、それに答えます。3問目は、哲学者が書いた文章の抜粋が提示され、その文章を解説します。

文学部門

1、時間から逃れることは可能か
2、芸術作品の説明は何に役立つのか
3、ヘーゲル(Hegel)著『法の哲学』(原題:Grundlinien der Philosophie des Rechts 仏題:Principes de la philosophie du droit)からの抜粋を解説せよ

経済社会学部門

1、道徳は政治において最良であるか
2、労働は人々を分裂させるか
3、ゴットフリート・ライプニッツ(Gottfried Leibniz)が論考した「デカルトの『哲学原理』(原題:Principia philosophiae)への気づき」を解説せよ

科学部門

1、文化の多様性は人類統一の妨げとなるか
2、義務を認識することは、自由を放棄することであるか
3、ジークムント・フロイト(Sigmund Freud)著『幻想の未来』(原題:Die Zukunft einer Illusion 仏題:L’Avenir d’une illusion)からの抜粋を解説せよ

バカロレアは、日本のセンター試験の様な位置づけですが、高校生が哲学について論述する、というのはいかにも著名な哲学者を多く輩出しているフランスならではですね。

執筆:Daisuke

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