本日、3日(月)から新学期が始まります。フランスでは、夏のバカンスが終わった9月が、新しい学年のスタートです。保護者に付き添われながら、バカンス気分が抜けない子供たちが当校する様子が見られます。
7月末に議会で採択された「学校教育機関でのスマートデバイスの使用を監督する法案」が本日から適用されるため、教育機関では新たな対応に迫られています。
学校教育機関でのスマートデバイスの使用を監督する法案
7月30日、議会はエマニュエル・マクロン(Emanuel Macron)大統領が提出した通称LREM法案の中の「学校教育機関でのスマートデバイスの使用を監督する法案」を賛成多数で可決しました。
この法案は、小中学校と一部の高等学校の校内で、インターネットに接続されたスマートフォン、スマートウォッチ、タブレットといったスマートデバイスと呼ばれる機器、携帯電話の使用を禁止するもので、学校にいる間は常に電源を切っておくか、家に置いてくるかのどちらかを選択しなければなりません。
これまでも、2010年7月に改正された教育法によって、授業中の使用は禁止されていましたが、今回の法律は授業中の使用に限らず、「校内での使用」すべてを禁止しています。高等学校では、スマートデバイスや携帯電話の使用禁止は推奨されていますが、禁止はされていません。
また、教育目的での使用や障害を持った子供の補助目的での使用などは例外で、各教育機関が定めたルールによって運用されます。
現場は困惑、一律禁止に懸念の声も
休み時間を含め、学校にいる全ての時間でのスマートデバイスや携帯電話の使用禁止に、学生だけではなく、教育現場からも困惑の声が上がっています。
隠れて使用する子供たちをどのように監督するのか、没収したスマートデバイスをどのように安全に保管し返却するのか、など学校側の負担が大幅に増える事が予想されることから、教育現場は緊張した状態で新学期を迎えます。
農村部では重要な連絡・情報手段
農村部の学校では、学校のスケジュールなどが変更された場合など、交通機関の情報を調べたり保護者へ連絡するための重要な手段であり、一律に使用を禁止するべきではない、という意見もあります。
児童のコミュニケーションの操作
若い世代の間では、スマートデバイスがあることが当たり前の時代で、一日のほとんどを過ごす学校内で一切スマートデバイスの使用ができないのは、児童のコミュニケーションの機会を奪うことになり兼ねない、と共和党(Les Républicains / LR)や社会党(Parti Socialiste / PS)などから批判の声も上がっています。
フランス全土で12万人の学生が新たに新学年を迎える
今日、フランスでは12万人を超える小学生、中学生、高校生が新学年を迎えます。小中学校では、この秋から下記の様に新しいルールが適用されます。
小学校
この9月から、フランスのほとんど(85パーセント)の幼稚園と小学校で再び水曜日が休みとなり、週休3日、学校に通うのは4日間になります。
教育特区に当たっている小学校の低学年、CP(Cours préparatoire 準備学年/日本式1年生)、CE1(Cours élémentaire 1 初級第1年/日本式2年生)、CE2(Cours élémentaire 2 初級第2学年/日本式3年生)では、1クラスの最大人数が12人と通常の半分になり、少人数教育が実施されます。
中学校
中学校の最初の学年、「第6学年」(Sixième/日本式小学6年生)では、フランス語と数学の試験が導入され、試験の結果によってクラス分けが決まります。
フランスの幼稚園から中学校までの学年の呼び方
フランスでは幼稚園から中学校まで、以下のように年齢、学年が決まっています。
幼稚園 école maternelle
3歳 | Petite section(小クラス) | Cycle des apprentissages premiers(Cycle 1) (初期学習期) |
4歳 | Moyenne section(中クラス) | |
5歳 | Grande section(大クラス) | Cycle des apprentissages fondamentaux(Cycle 2) (基礎学習期) |
小学校 école élémentaire/école primaire
6歳 | Cours préparatoire(準備学年) | Cycle des apprentissages fondamentaux(Cycle 2) (基礎学習期) |
7歳 | Cours élémentaire 1 (CE1)(初級第1年) | |
8歳 | Cours élémentaire 2 (CE2)(初級第2年) | Cycle des approfondissements(Cycle 3) (深化学習期) |
9歳 | Cours moyen 1 (CM1)(中級第1年) | |
10歳 | Cours moyen 2 (CM2)(中級第2年) |
中学校 collège
11歳 | Sixième(第6学年) | Cycle d’adaptation (適応期) |
12歳 | Cinquième(第5学年) | Cycle central (中間期) |
13歳 | Quatrième(第4学年) | |
14歳 | Troisième(第3学年) | Cycle d’orientation (進路指導期) |
更に、この後に高校(Lycée)が、15歳 Seconde(第2学年)、16歳 Première(第1学年)、17歳 Teminale(最終年)と続きます。
再び学校に子供たちの笑い声が戻り、市民はバカンスが終わったと感じます。
関連ニュース:
7月30日 小中学校でのスマートデバイスの使用を禁止 議会で採択 野党は棄権
執筆:Daisuke