フランス通信料金、競争激化で「生涯」月/5ユーロ?

2018.09.28

フランス通信業界
フランスはEU圏内で最も通信料金(携帯およびインターネット料金)が下落した国ですが、ここ数ヶ月でさらに料金競争が過熱しています。「消費者一人勝ち」の料金競争は各社の利益を圧迫し、業界の統廃合が進む危険性を含むとフランスの経済専門紙レゼコー(Les Echos)が報道しています。

 

シェア獲得で料金競争激化

フランスの携帯電話の料金は過去に例のないほど下落していますが、この傾向はここ数ヶ月でさらに加速の一途をたどっています。

ブイグ(Bouygues Télécom)社が20ギガで「生涯」月々5EUR(約650円)、SFR社は同じ料金で30ギガ、FREE社は最初の1年間1EUR(約130円)以下の特別料金を更新しています。業界最大手のオランジュ社(Orange)は、光ファイバーを最初の1年間月々10EUR(約1300円)で提供すると発表したところ、申し込みが殺到しています。

料金を下げるかわりに、契約者をできるだけ自社に引き止めるのが狙いであるため、契約年数に縛りがあり「番号移行ができない」という制約付きなど条件は様々ですが、4社とも例外なくシェア獲得のために禊を削っています。

 

10年間で料金が45%下落、「消費者一人勝ち」

2009年、当時インターネットのプロバイダーだった後発のFREE社に携帯電話通信のライセンスが授与されてから、フランスの通信会社が4社となりました。市場分析会社、レモン・ジェームス社(Raymond James)によると、契約者一人当たりの売上は34EUR(約4420円)から19EUR(約2470円)に半減し、世界でも類を見ない値崩れを起こしています。

フランスの電話通信業界の状況にもっとも近いのがイタリアで、ここ4ヶ月でやはり通信料金が大きな値崩れを起こしています。これはフランスのFREE社がイタリア市場に参入したためで、現在「イタリアがEU圏内で通信料金がもっとも安い国になっている」、とレモン・ジェームス社は分析しています。

今の消費者は価格でしか動かない

ブイグ社の社長、オリヴィエ・ルサ(Olivier Roussat)氏は「今の顧客は価格でしか動かない。数ユーロ節約するためにオペレーターを乗り換える顧客も多い」、と現在の料金競争の現状についてコメントしています。

SFR社は過去数年間料金の安定化を戦略としていましたが、数年にわたって延べ300万人の契約者が他社に乗り換えたことで株価が5割下落したためあえなく方針を変え、「生涯 月/5ユーロ」を掲げて安売り攻勢に転じたところ、半年で50万人の契約を獲得しました。そして、これが新たな料金競争を巻き起こしています。

格安モバイルを引っさげ2012年に携帯市場に乗り込んで料金競争に火をつけたFREE社は、今年の第2四半期で20万人の契約者を失い、オリヴィエ・ニール(Olivier Niel)社長も反撃を余儀なくされています。

 

4社から3社へ統廃合の危機?

消費者にとってはうれしい限りの価格競争ですが、一方で4社の収益が悪化し新しい投資に資金が回らなくなることが懸念されます。
専門家のなかには、「光ファイバーで業界一位のオランジュがなぜ光ファイバー契約を安売りするのか?」などと、一連の短絡的な安売り戦略を疑問視する声も上がっています。

最近では、業界大手のオランジュ社は業界4位のFREE社を疲弊させ、「過去4回にわたり失敗した、業界4社から3社化への統合の話を再開するための戦略ではないか」、という意見も出始めています。

いずれにしても、このままでは「原価割れ」(オランジュ社長談)状態がつづきます。
通信業界各社は光ファイバーや4Gなど大掛かりな投資を強いられており、「いずれ4社とも料金を上げるしかなくなる」(SFR社長談)可能性は大です。

それまで当面消費者は激安契約料金の恩恵にあずかれるようです。

執筆:マダム・カトウ

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