2026年9月1日(火)、今日から小中高は新学期ですが、大学生は10月に始まる新学期にむけ、アパート探しに奔走しています。深刻な住宅難で、予算が低い大学生が入居できるアパートは限られるなか、一人暮らしの高齢者の空いた部屋を間借りする、世代間アパートシェアが増えている、と地元のメディアが報道しています。
深刻な学生の住宅難、家賃の高騰で進学を断念する人も
2023年に行われた世論調査で、35歳未満の12%が「アパート見つからなかった」さらに、18歳~24歳の17%が「家賃が高すぎた」ことを理由に進学を断念したと回答しています。
住宅難はパリ市などの大都市だけでなく、地方都市でも問題になっています。
一つの屋根、二つの世代
フランス南東部、アルプス山脈のふもとにあるアヌシー(Annecy)。風光明媚なこの町で新学期を前にエマさんはアパートを探していました。空室のある物件はまれで、あっても家賃は高額、にもかかわらず中はボロボロ、と悪条件がかさなっています。
そのため、「一つの屋根、二つの世代」(”Un toit, deux générations”)と呼ぶ制度を利用し、高齢者と同居する選択をしました。
非営利団体『セザム(Sésame)』が2021年から実施しているこの仕組みは、住居を探す学生と空室を持つ高齢者を結び付け、同居する機会を提供するものです。
22歳の学生エマさんは「立地もよく、家賃も安く、月々たったの180ユーロ(約33,300円/1ユーロ=約185円)なのです」と説明しています。
一方、大家さんのジャクリーヌ(Jacqueline)さんは、1年半前にご主人が亡くなってから一人暮らしになり、「アパートが一人で住むには広すぎると思っていたところ、この制度を見つけ、すぐに飛びついた」と述べています。
ウインウインの関係
格安の家賃の引き換えに、エマさんは大家さんにちょっとしたお手伝いをしたり、時々一緒に時間をすごしたりしています。例えば、街を一緒に散歩したり、お買い物を手伝ったりしています。
「学校から帰宅した際にちょっとした会話をしますが、ジャクリーヌは本当にお茶目な性格で、冗談を言い合ったりするんです」とエマさんは二世代シェアの日常生活について語っています。
ジャクリーヌさんは、「エマみたいな素晴らしい人に出会うと、お互いにいい経験になるし、仲介した団体の担当者の段取りがいいと思う」と満足しています。
セザムで同居の候補者の引き合わせ「マッチング」を担当するエムリン(Émeline)さんは、部屋を提供する高齢者の希望や条件、ニーズを「事細かに聞き取る」ことが自分の任務だ、と言います。つまり、間貸しする相手の学生は女子がいいのか男子がいいのか、趣味や関心のあること、本人の性格などを知ったうえで、うまくやっていけそうな学生を探すのです。
開始から5年がたち、学生と高齢者の同居制度は徐々に知名度を上げ、年々学生側の需要は高まるばかりです。しかしながら、提供できる物件、受け入れ先の数は慢性的に不足しています。
セザムでは、現在、受け入れ先20件に対し、学生200人が殺到している状況です。
二世代同居の仲介を行う団体は、セザム以外にも多数存在します。
パリ市も奨励、高齢者の孤立を避ける
住宅難が続き、高齢者の孤立化が問題になっているパリ市も同制度を奨励しており、公式ページで以下の2団体を紹介しています。
1)パリ、イル=ド=フランス地域圏内で活動する非営利団体:Groupe SOS Seniors サイト
・学生に限らず、30歳以下の若者でで空室を探す人が対象
・受け入れ側は60歳以上が条件
2)フランス全国33カ所で活動する団体:Ensemble2générations サイト
申し込み条件等は団体により異なり、寄付や団体への入会金などが発生する場合があります。各自でご確認ください。
出典:Franceinfo、パリ市公式サイト
執筆:マダム・カトウ











