どうなるフランス 財政赤字・移民問題 バルニエ新首相の政策とは

2024.10.04

2024年10月4日(金)、ミッシェル・バルニエ新首相が1日、就任後初の国会演説を行い、バルニエ政府の方針を発表しました。最重要課題の来年度予算案の提出期限が10日と迫る中、税、移民問題、公共サービス、年金など、様々なテーマについてフランス国営放送(France2)がインタビューしています。

 

財政赤字縮小に60億ユーロの財源捻出が急務

年々増え続けるフランスの財政赤字、EU規則であるGDPの3%を優に超え、現在その倍の6%に達しています。

バルニエ首相はその縮小のために必要な来年の財源60憶ユーロ(約9兆6820億円/1ユーロ=約161円)のうち、その3分の2にあたる40億ユーロ(約6兆4500億円)を節約で、残りを増税で確保しようと考えています。

緊縮財政になるのかという質問に「支出は増え続けるため、緊縮ではない」と否定しつつも、現実的で厳しい予算案を提出し、国民議会で議決されることを目指しています。もし議決されない場合、「49.3」、憲法49条3項の行使により強行採択することも示唆しました。

財源として、まずは売り上げ10憶ユーロ(約1614億円)以上の大企業、約300社に来年から1年もしくは2年間の増税、さらにフランスの富裕層上位1%、約65,000人への一時的な追加課税による20億ユーロ(約3229億円)の財源確保を検討しています。

さらに、年金額の見直しによる追加給付日を6か月間先延ばしにすることも案として挙がっています。

収入に関係なく直接国民のお財布に直結するこの案に関して、新首相は「(受け入れが)厳しいことはわかっているが、国民全員に努力をお願いしたい」と理解を求めています。

公官庁の支出減、退職者のポストを再編で補う

支出の節約案として、公官庁を再編することで、公務員の数を減らすことが挙げられています。

ただし、国民の便宜を左右する公共サービス以外の部署に限って再編を行い、徐々に人数を減らすという長期的な変革です。

国民に支給される様々な「手当」の一本化に着手

現在フランスでは、こども手当、住宅手当、新学期には文具購入手当、生活保護など、様々な手当が支給されています。

バルニエ首相および同氏が所属する共和党が主張するポリシー「国から支給される手当が労働収入を上回るべきではない」、つまり様々な手当の合計が「最低賃金の70%を超えない」よう、支給を1本化するための改革に着手することを目指しています。

 

移民対策、新内務大臣の強硬派発言を牽制

バルニエ氏はインタビューで移民問題についての方針を聞かれ、「本当に身の危険のある人を慎重に選び、きちんと受け入れる」ことでフランスにとって有益な人材確保につながるとの見解を示しました。

また、スポーツや音楽、起業などで活躍している人たちがいることを強調し、こういった人たちを受け入れることは名誉なことだと発言しました。

さらに、ラタイヨー新内務大臣(Bruno Retailleau)が「移民受け入れはフランスに有益ではない」と発言したことを受け、「決めるのは私だ」と立場を明確にしました。

執筆:マダム・カトウ

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