2024年3月26日(火)、31日(日)はフランス語で「パック」(Pâques)と呼ばれるイースター祭。毎年卵や鶏、ウサギの形をしたチョコレートを贈ったり、家族で集まって庭に隠したチョコレートの卵を子供たちが探すゲーム(エッグハント)を楽しんだりとチョコレートが欠かせない行事です。ところが、今年はチョコレートの価格が大幅に上昇しています。
カカオ価格、前年比162%の高騰
今年のイースター祭時期のカカオ価格を前年同時期と比較すると、なんと6割も値上がりしています。
最大の理由は、エルニーニョ現象による世界的な気温の上昇ですが、特に世界のカカオのほとんどが生産されるガーナとコートジボワールで猛暑が続き、干ばつなどの被害がでたことです。
加えて両国の一部の地域では、”swollen shoot”と呼ばれるウイルス性の病気がカカオ畑に広まり、収穫量が大幅に減っています。そのため、今年のカカオ豆1トン当たりの価格は、すでに現時点で6,200ユーロ(約1,016,800円/1ユーロ=164円)を越えています。
チョコレートやチョコレート菓子の店頭小売価格も、昨年11月のハロウィンシーズンの時点ですでに前年比12%も値上がりしています。
イースター、クリスマスに次ぐチョコレート商戦、今年のお値段は?
キリスト教の年間行事でクリスマスに次ぐ重要なイースター、この時期のフランスにおけるチョコレートの販売量は年間の10%を占めています。
今月初、スイスのチョコレートメーカー、リンツ&シュプリュングリ社(Lindt & Sprüngli)は、昨年の10%値上げにもかかわらず、今年も5%の値上げを発表しています。
キンダー(Kinder)やロシェ(Rocher)など欧州の人気チョコレートブランドで知られる、イタリアの大手メーカー、フェレロ社(Ferrero)(注)は「消費者への販売価格になるべく価格転嫁しなくて済むように、原材料の仕入れを早めに行っている」と述べていますが、昨年比の価格についてはコメントを控えています。
店頭価格、22年からグングン上昇
明らかなのは、2022年2月から23年2月の1年間で、スーパーで販売されるチョコレートベースのお菓子のフランスにおける店頭価格は4%値上がりしています。中でももっとも値上がりしたのは、チョコレート(8.7%)、フェレロ社のブランド名にもなっている「ロシェ」(rocher)と呼ばれる岩の形をしたチョコと、プラリネなどが入った一口サイズのチョコ「ブシェ」(bouchée)(10.4%)といった、カカオ含有率の高い商品です。
イースターの卵が10%~20%値上がり
気になるイースター祭のシンボルである、鶏と卵型チョコレートの価格ですが、過去2年間のカカオの値段高騰が店頭価格にも反映されているようです。
フランスチョコレート組合(Syndicat du chocolat)ジル・ルヴィエール(Gilles Rouvière)書記長は、今年のイースターのチョコレートの店頭販売価格について、「(チョコレートの)鶏は大体数十サンチームの値上がり。卵のほうは10%~20%の値上がり」になっていると述べています。
巨大な市場、フランス人一人当たりのチョコレート消費、欧州一
同組合の発表する数字によると、2021年のフランスにおけるチョコレートの消費量は348,000トン、金額にして33億2300万ユーロ(約5461憶円)でした。
フランスの一世帯あたりの年間のチョコレート消費量は実に13.2kg、一人あたり約7㎏でヨーロッパ一の消費量を誇っています。
執筆;マダム・カトウ