不定期でお届けしている「Daisukeのフランスこんな小話」第12弾。今回は、日本ではまず出来ない「パンを買うために国境を越えてみる」に挑戦したいと思います!
日本では簡単にできない「国境越え」
以前にもお話ししたように、僕は「国境」というものに並々ならぬ関心があります。皆さんは「国境越え」をする時に、なにかこう、凄いことをしているような感覚になることってありませんか?
日本は四方を海に囲まれている島国のため、隣国とは陸上で国境を有していません。はっきりと「この線からこちらは日本、あちらは外国」ということがなく、国境を超えるためには飛行機か船を用いなければいけません。
目に見える形で国境を越えることが日本ではなかなかないので、実際にヨーロッパの国々で国境越えをするとき、僕は言いようのない高揚感に見舞われるのです。
特にヨーロッパ諸国はシェンゲン協定(ヨーロッパの国家間において検査なしで国境を越えることを許可する協定)によって、ユーロ加盟国のみならず、ユーロ非加盟国(シェンゲン協定加盟国)との間でも検査なしで国境を越えることが出来ます。
スイスのバーゼルからフランスのサン=ルイへ!
僕が今回挑む国境はここ。スイス第3の都市バーゼル Basel(フランス語表記はBâle)とフランスのサン=ルイ Saint-Louis です。
( Google map より)
バーゼルってどんな町?
バーゼルはドイツとフランスとスイスの3か国の国境を有する、まさに国境の街です。スイス(公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語。通貨はスイスフラン)の中のドイツ語圏に属し、人々はスイスドイツ語を話します。
ほとんどの人は初級程度のフランス語を話せて、またユーロで支払いをすることも出来ます(すべての店でユーロが使用できるわけではありません)。
妹がここバーゼルに住んでいるため今回訪れたのですが、静かでとても暮らしやすい街です。
手前を流れるのが有名なライン川です。
ちなみにスイス・バーゼルとドイツとの国境は…
こちらは山の中にあるドイツとの国境。国境だからと言ってなにがあるわけでもなく、
このバー一本で仕切られています。右手がドイツ、左手がスイスです。
サン=ルイってどんな町?
バーゼルのお隣の町、フランスのサン=ルイは小さな町ですが、ユーロエアポート・バーゼル・ミュールーズ・フライブルク空港 (Aéroport international de Mulhouse-Bâle-Fribourg)という大きな空港があります。3つの空港コードを持つ珍しい空港です(フランス国内線はMLH、スイス国内線はBSL、国際線はEAP)。
誰もいない国境の検問所
さて、自転車でバーゼルとサン=ルイ間の国境へとやってきました。ここには検問所がありますが、中には誰もいません。スーッと何の問題もなく通過することが出来ました。
この検問所を境に手前がフランス語で奥がドイツ語になります。通貨もユーロ(€)とスイスフラン(CHF)に変わります。
何度通過しても変な感じがします。
スイスにはバゲットが存在しない!
そしてもう一つ面白いことは、国境の向こう側、つまりスイス側にはフランス式のバゲット baguette がないのです! 似たようなものはあるのですが、やはり違います。
建物もなんとなくスイスと違うような気がします。知っている銀行やスーパーなどが急に現れるので、「ああ、フランスに入ったんだな」と実感します。
道路標識がフランス語であることや、道行く人とフランス語で会話ができることが嬉しくて、ついつい遠出をしてしまいました。
無事にバゲットを購入
さて、無事にBoulangerieを見つけ、tradition を2本購入し「今日はスイスからトラディションを買いにきたんだよ!」と言うと、「よくやったわ。だってバゲットがないと生きていけないもの」とお姉さんが嬉しそうに言ってくれました。
パンを荷台に挟み、国境を通過します。帰り際、boulangerie のお姉さんが「国境を通過するときは気をつけて! スイスの税関職員は厳しいから『このパンの税金を払え』て言ってくるわよ(笑)」と忠告してくれたので、そそくさと国境を通過したのでした。
皆さんはどうですか?
皆さんが国境を通過する時はドキドキしますか? こっそりおしえてくださいね!
それでは、Auf Wiedersehen!
執筆 Daisuke