フランス語を学習されている皆さんの中には、
「文法をしっかりと勉強しているのに、会話になると全然話せない」
「発音がいつまでも上手にならない」
「いつまでたっても同じ表現しか使えない」
という悩みを持っている方も少なくないのではないでしょうか。僕も同じような悩みを抱えていました。
「会話できる人」と「できない人」の違いは?
「渡仏すれば話せるようになる」。多くの人が抱きがちなこの淡い期待。全くの幻想かというと、もちろんそんなことはありません。長くいればそれだけフランス語に触れる機会も増えるわけですし、日常的に使う表現は言えるようになります。
しかし、フランスに来て間もない人がまるで4ー5年滞在してるのかと思うほどペラペラと会話していることもあれば、何年たっても来た時とレベルが変わらない人がいることも確か。
フランス語でスラスラと会話ができるようになるには、まずその「違い」を知ることが大切です。
どれだけフランス語で会話しているか
最も大きな違いは「どれだけフランス人と多く接しているか、フランス語で会話しているか」です。
フランス人と多く接し会話すると、そのなかで「生きた表現」を学ぶことが出来ます。また自分が習ったフランス語をどれだけ口に出して喋るかによっても、トレーニングの量には違いが出てきます。
日本語の習得も、日々のトレーニングの賜物
トレーニングと書きましたが、私たち日本人が超難解な言語である日本語を自在に操ることが出来るのも、小さいころからコツコツと積み上げてきたトレーニングの賜物なのです。
ここで重要なのは、「日本に生まれたから日本語が話せる」わけではないということです。日本に生まれていても、周りの人がいつも英語だけを話していれば、あるいは韓国語やロシア語、エスペラント語やヘブライ語、マラガシ語やアフリカーンス語だけを話していたとすれば、私たちは日本語を話すことはできていません。
これは私たちの家族や友人や周囲の人から毎日日本語を叩きこまれ、さらにその叩き込まれた言語を話す、アウトプットする、という長年に及ぶトレーニングの結果勝ち得た「栄光の架橋」なのです。
語学の習得とは、生まれてから今日まで長年かかった過程を、短期間で行うことなのです。
文法を勉強しなくても、話すことはできる
ここで、大きな矛盾点が現れます。私たちは子どもの頃、文法の勉強などしていないのです。
日本語の文法というのは、正直に書きますが、もしも僕が外国語話者だったなら、決して学ぼうとは思わないほど複雑で難解です。そんな日本語を、私たちは学校に入って文法を習うまでに、充分話せるようになります。
もちろん、子供のときに話しているのは「正しい日本語」ではないのかも知れません。しかし相手とコミュニケーションを円滑にとるには充分な語学力を、すでに持っているのです。
それは生まれてから絶え間なく繰り返される「会話トレーニング」の結果、知らず知らずのうちに習得した「会話術」なのです。
でも文法もしっかり勉強する!
誤解を生まないために書いておきますが、決して「文法が必要ない」「文法はあとからすればいい」と言っているわけではありません。
私たちは学校に行くようになってから、日本語の文法をしっかりと叩き込まれます。さらに漢字ひらがなカタカナ、熟語や音読み訓読みなどの読み書きを覚え、私たちの日本語をより確かなものにしていきます。
大人になった私たちはより短期間で語学を習得しなければならないため、「会話術」の習得と同時に「文法」も習得する必要があるのです。
今回からの連載では、この「文法」はすでに学習しているか学習中、またはこれから学習することを大前提にお送りします。ですから、文法学習をおろそかにすることのないようにお願いします!
フランス語で会話するための「ヒント」を
前置きが非常に長くなりましたが、ここまで読んでいただいてうっすらと気づき始めているかも知れません。
ここで言う「会話術」、青色のネコ型ロボットが出す便利なあの「こんにゃく」を食べたかのごとくみるみると喋れるようになる、魔法のメトードのお話ではありません。
赤ちゃんの頃から絶えず行って手に入れた「会話術」を、大人になった私たちは一体どのように習得すればいいのかを一緒に考えていく、そんなお話です。
期待してしまった方、ごめんなさい。しかし最後まで読まれると、きっとフランス語で会話をするためのヒントが含まれていると思います。
いよいよ次回から本題に入りますよ!
執筆 Daisuke