フランス語が話せないまま渡仏した僕がどのようにフランス語を学んだのか、皆さんだけにこっそりと「秘伝の書」を伝授しています。前回は自分のフランス語を相手に聞き取らせる「逆ディクテ」の方法をお伝えしました。
逆ディクテは「相手」も大事
これは餌食になる相手の人がどれだけ忍耐強く、根気よく付き合ってくれるかがポイントです。わけのわからない文章を長時間聞かされても、鬱陶しそうな顔一つしない。そしてこちらが言う前に、前の文から予測して先に言ってしまわない忍耐強さが、相手の人に必要なのです。
先に予測して言ってくれるのは親切に思えますが、これだとちっとも上達しない。身につかないのです。逆ディクテで大切なのは、相手が話を理解することではなく「自分の発音、説明のみで相手に分からせること」です。そして映画でどうしても聞き取れなかった部分を「自分の発音で相手に解読してもらうこと」が重要なのです。
僕の逆ディクテに根気よく付き合ってくれたFrancisさんとLionelさん。いつも僕が「なんでわかんないの?!」と理不尽なイライラをぶつけても嫌な顔一つすることなく、耐え難きを耐えてくれました。
聞き取りやすい映画を
さて、この「秘伝の書」シリーズの冒頭でお伝えした映画「Viens chez moi, j’habite chez une copine (邦題:恋の邪魔者)」。友人が薦めてくれたこの映画で僕はフランス語学習を始めたのですが、あまりの面白さに僕はすっかり虜になってしまいました。
そしてなぜこの映画にこだわったかというと、Michel Blanc の言葉がとにかく聞き取りやすいのです。「これフランス語?」というほどはっきりと発音しているのです。四六時中、僕は主人公の Guy のセリフを覚えては友達の前で披露していました。
名作映画「北ホテル」のセリフも
他にも面白いは「Hôtel du Nord(邦題「北ホテル」 監督:Marcel Carné 1933年)」のものすごく有名なワンシーン。フランス人の若者も、映画のストーリーは知らなくてもここだけは知っているというあのセリフ。
「Atmosphère, atmosphère ! Est-ce que j’ai une gueule d’atmosphère !? 」
これを覚えて披露し、それだけでは物足りなくなって、天気のいい日にCanal Saint Martin (サンマルタン運河)のHôtel du Nord の前の水門まで一人で行って、このセリフを大きな声で演じてみたりしていました。
セリフを声に出す
とにかく覚えた台詞は片っ端から使う。恥ずかしがらずに声に出して、身振り手振りを加えて真似をする。そうして耳で得たものを口に出す、体で覚える。このトレーニングをひたすら続けたのです。
するといつの間にか、日常で使うフランス語が驚くほどクリアに耳に入ってくるようになっているのです。そして、いつも日本語アクセントで「ウィ ウィ」と繰り返していたのに、気がつくとまるでフランス人のような発音で「Oui」と言っているのです。
実在する「北ホテル」の建物
Hôtel du Nordは実際にあった安宿です。現在も建物は残っていて同名のお洒落なカフェになっています。
映画に登場する水門
「Atmosphère ! Atmosphère ! …」の舞台になったサンマルタン運河の水門
サンマルタン運河の上流
サンマルタン運河の上流。ここではいつも学生たちが日向ぼっこをしながら本を読んだり愛を語りあったり、また音楽を聞いたりと思い思いの時間を過ごしています。
最後にQuestion
フランス語を学ぶ上でもう一つ大切にしていたことがあります。そこでQuestion。僕Daisukeが、フランス語を学ぶ上で大切にしていたこととは、一体なんでしょうか。下のABCの中からお選びください。
A:間違えずに正しいフランス語を話そうと心がけた
B:若者の話している言葉を真似した
C:チャットに明け暮れた
皆さんならどれを選びますか? 正解は続編で!
執筆 Daisuke