早いものでもう2月も半ばになりました。2月は1年の中で最も寒い月と言われています。今回はそんな寒い日におすすめのフランソワ・コペの詩をご紹介します。じんわりと心温まる一篇です。
詩人フランソワ・コペとは?
フランソワ・コペ ( François Copée ) は19世紀のパリで生まれた詩人で、劇作家としても活動しました。市民の日常を描いた詩が多く、一般の大衆に好まれました。1884年にはフランスの国立学術団体であるアカデミー・フランセーズ(l’Académie française)の会員に選ばれています。
2月の寒さの中で詠った情熱あふれる愛の詩
フランソワ・コペの「2月」( Mois de février ) という詩をご紹介します。永遠に春が来ないような寒さの中でも、暖かい日々はまたやってくるということを詠っています。
恋人に会う前は2月の寒さのように凍えていたけれども、出会ってからは春のような暖かい気持ちになれたという対比表現がおもしろい、愛と優しさに溢れた心温まる詩です。
寒く暗い日は気分が沈みがちですが、春の暖かさはまた必ず戻ることを思い出させてくれます。心配や不安が多い昨今、詩を読むことで心癒されるのもいいかもしれませんね。
Mois de février François Copée
Hélas ! dis-tu, la froide neige
Recouvre le sol et les eaux ;
Si le bon Dieu ne les protège,
Le printemps n’aura plus d’oiseaux !
Rassure-toi, tendre peureuse ;
Les doux chanteurs n’ont point péri.
Sous plus d’une racine creuse
Ils ont un chaud et sûr abri.
Là, se serrant l’un contre l’autre
Et blottis dans l’asile obscur,
Pleins d’un espoir pareil au nôtre,
Ils attendent l’Avril futur ;
Et, malgré la bise qui passe
Et leur jette en vain ses frissons,
Ils répètent à voix très basse
Leurs plus amoureuses chansons.
Ainsi, ma mignonne adorée,
Mon cœur où rien ne remuait,
Avant de t’avoir rencontrée,
Comme un sépulcre était muet ;
Mais quand ton cher regard y tombe,
Aussi pur qu’un premier beau jour,
Tu fais jaillir de cette tombe
Tout un essaim de chants d’amour.
日本語訳:2月 フランソワ・コペ
ああ、君は言う。冷たい雪が
土と水を覆ってしまう、と。
心良き神様が守ってくださらなかったら、
春にはもう鳥はいなくなってしまう!と。
安心して 怯えている優しい人よ。
柔らかな温もりがなくなることはないのだから。
彼らには根の下に掘られた
暖かで安心な隠れ家があるのだから
その場所、その暗い隠れ家でくっつきあって
縮こまっているんだよ
私たちと同じように希望を持って
次の四月を待っている
ビズを投げても
震える彼らに届きはしないが
彼らはとても小さな声で
愛の歌を歌っているんだ
同じだよ、私の愛する可愛い人よ
君に出会う前は、
私の心は何にも動かなかった
聾の彫刻のようだった
でも、愛しい君が見つめてくれた、
始めての晴れた日のように純粋に
君のおかげでこの墓場から
たくさんの愛の歌が溢れたのだ
まとめ
寒い季節でも春の暖かさが隠れていると思えば希望が持てるのではないでしょうか。「2月」を読んで温かな気持ちになって頂けたら幸いです。
執筆者 ちはる