今回はフランス人の食生活にすっかり溶け込んでいる「シロップ」についてお話ししたいと思います。
フランスのシロップとは
シロップはフランス語で「du sirop(スィロ)」ですが、まず日本人の私たちが「シロップ」と聞いて思い浮かべるのは、アイスコーヒーに入れる「ガムシロップ」やかき氷のシロップ(蜜)など、とにかく甘~い液体ですよね?
フランスのシロップもかき氷のそれに近い感じで、様々なフレーバーがあります。原液はもちろん甘~いですが、そのまま飲むわけではありません。水や炭酸水で割ります。日本の「カルピス」と同じ飲み方ですね。スーパーでは上の写真のように細長い容器に入って売られています。
フランス人に人気のフレーバーは?
フランス国民、老若男女にもっとも親しまれているフレーバーは、写真左から2番目の赤いシロップ。苺味、ではありません。「Grenadine(グルナディンヌ)」という「ザクロ果汁」のシロップなんです!ザクロって日本人には割と珍しい果物だと思うので、このシロップがザクロの味を忠実に再現しているか…はイマイチわかりませんが、すっきりと優しい甘さで美味しいです。
そしてグルナディンヌに負けず劣らずの人気は写真左のミント (la menthe)味。色は鮮やかな緑!で、水で割った見た目は日本のメロンソーダにそっくりです。一瞬「歯磨き粉」を思わせる風味ですが、慣れると爽快感が心地良く、冷えたペリエで割った「Perrier à la menthe」は暑い日に飲むとすごく美味しいです。
さてここで皆さんに質問です。フランスのカフェで「万太郎」と言えば飲み物が出てくる、と聞いたことはありませんか?その飲み物とは「マンタロー」という発音に近い Menthe à l’eau 。「ミントシロップの水割り」のことなんですね〜。
このシロップたち、フランスの家庭でよく見かけます。コップに好みの量を入れてお水を注ぐだけ、お手軽な飲み物です。果汁100%のジュースに比べれば健康に良いとは言えませんが、甘さを調節できるので、コーラやサイダーなど欧米の激甘清涼飲料水を飲むよりはずっとマシ。しかも冷蔵庫で長期保存できるので、経済的にもお得です。
フランスならではのシロップ
ザクロやミント以外にもレモンやグレープフルーツなど様々な果物のシロップがありますが、私がちょっと変だなぁと思うフレーバーをここでご紹介します。それは、アイスティシロップ、しかもピーチ風味!
このシロップ、濃い茶色の液体で水で薄めるとアイスティーのような色に変わります。アイス「ティ」なんだから、紅茶の葉っぱから作ったほうが美味しいのでは…と思ってしまうのですが、ここが日本人的発想。一般のフランス人にとって「アイスティ」は、Lipton か Nestle のアイスティなんです。
葉っぱから作るものではなく、水で薄めるものなんです!
ちなみにストレートティは無く、レモンかピーチのフレーバーつき。だからフランスにはアイスティシロップが存在するし、しかも最初からピーチ味なんですね。まあ写真のネスティなんかはそれなりに美味しいですけど、やっぱり激甘です(苦笑)
あとがき
…というわけでフランス人に親しまれているシロップ。水で薄める以外にもカクテルに入れたりと様々に楽しめます。是非味見を!とお勧めするほどのものではありませんが、「Perrier au(sirop de) citron」(ペリエのレモン風味)などは美味しいので、フランスのカフェで一休憩する機会がありましたら是非試してみてください。
執筆 Miwa