ワインはどのように造られるのでしょうか?今回はワイン造りの流れと、ワインの個性を決定づける4つの理由についてご紹介します。ワインに対する理解がますます深まる重要なお話です!
ワインは”偶然の産物”?
「ワインが造られる」とは、一体何が起きていることなのでしょう?一言で言うと発酵です。さらに酵母がブドウに含まれる糖分をアルコールと二酸化炭素に変えている、と言えます。
ワインの起源が語られるとき、他の歴史ある食品と同じく”偶然の産物”であったという説もあります。それは、「収穫したブドウを放置していたら自然につぶれて、気がついたらお酒になっていた。飲んでみたら、なんと香りもよく美味しい液体であった!」というお話しです。
ワイン作りに不可欠なもの
偶然、この”美味しいブドウのお酒”ができたのはなぜか?これは酵母の仕業です。偶然、酵母が活動できる条件が重なり、アルコール発酵をしたのです。ワイン造りに欠かせない酵母は、実はブドウの表皮に住みつき野生酵母と呼ばれています。
酵母は発酵をうまくさせるもの、妨げるものさまざまで、全てが(人類にとって)ウェルカムというわけではありません。そこで現代では上手に働いてくれる酵母を人口培養してワイン造りに使用しています。
白・赤・ロゼワインはどのように造られる?
ワイン造りの流れをおおまかに見ていきましょう。以下の順番は赤ワイン造りの工程になります。
- 栽培
- 収穫
- 破砕(収穫したブドウを潰します。)
- 発酵(ここで先ほど挙げた酵母が活躍します。)
- 圧搾(絞ることです。)
- 熟成
- 瓶詰め
- 瓶熟成
- 出荷
ワイン造りにはこんなに多くの工程があります。基本的に赤ワインには表皮の黒い黒ブドウを使用し、白ワインは表皮が緑色やピンク色のいわゆる白ブドウを使用します。
白ワインと赤ワインの決定的な違いは何か?
赤ワインと白ワインでは使用するブドウも違いますが、造り方の一部にも違いがあります。
- 白ワイン 絞ったブドウジュースを発酵させる
- 赤ワイン、ロゼワイン 発酵したブドウジュースを絞る
赤ワインと白ワインでは4と5の工程が逆になり、「絞ったブドウジュースを発酵させる」過程に違いがあります。ロゼワインは、ワインの造り方の4の工程で頃合いのいいところで止めたり、黒ブドウを用いて白ワインの造り方を取り入れたりします。
ワインの個性を生む4つの理由
前回の記事で、”ワインの品質や個性を決めるのはその土地の要素”とご説明しましたが、今回はもう一方の要素となる”造り方”に注目してみましょう。前回の記事⇒フランスのワイン産地が有名になった理由とは?ワインの法律って何?
1.野生酵母と培養酵母どちらを使う?
野生酵母は自然からの贈り物ですが、働きが安定しないことがあります。一方、それもまたワインの魅力としてオーガニックや自然派ワインの生産者には好んで使われています。培養酵母は安定した品質のワインを生み出しますが、味は均質化されます。
2.発酵容器も重要なポイント!
管理はしやすいけれど熱伝道してしまいやすいステンレスタンクと、コストが高く手入れが大変だが、やわらかい風味が生まれる木樽があります。
近年増えているのはコンクリートタンクですが、それぞれの長所と短所が考慮されて使用されています。ワインにとって重要な発酵という過程を行う場所ですから、その後の味わいに大きく影響します。
3.果汁と果皮・種の接触の期間と方法
赤ワインでの過程です。長ければ果皮と種の成分が多く抽出され、温度によっても左右されます。また、機械で行うのか、人力で行うのかでも違ったものとなります。
4.熟成の期間と方法
小さい樽か、大きい樽で行うのかでも違いが出てきます。ワインと樽が接する面積が変わり味わいに影響します。また熟成は早期に切り上げ、瓶詰めするものもあります。
最後に
自然酵母の働きに始まり現代に至るまで、製造方法の進化や変化があったワイン造り。自然からの贈り物と人類の技術が融合した、なんともドラマティックなものだと思いませんか?
執筆 Eriko