2026年9月18日(金)、ルコルニュ首相(Sébastien Lecornu)は、国民議会における2027年度予算審議を前に、財政赤字を5%以内に抑えるための予算案として、540億ユーロ(約9兆7,869億円/1ユーロ=約181円)の節約を検討していることを、地元メディアの取材に答え、明らかにしました。
赤字削減に、年金、公務員の昇給、社会保障給付などの金額凍結が浮上
予算案は、今週末にまずは高等財政評議会(HCFP)に提出されます。
さらに10月1日の閣僚会議で検討され、中旬に国民議会で審議が開始されます。これらの過程を経て原案は財政的にも政治的にも妥協を強いられ、大幅に変わることが予想されます。
緊縮財政ではない、ルコルニュ首相
首相は「緊縮財政とは程遠い」と述べ、今回の予算案を「攻めの内容」と称しています。野党の猛反発が想定されますが、特に懸念される極左、不服従のフランス党(LFI)の審議妨害がないことを条件に、憲法49条3項による強行採択や政令を用いずに予算案を成立させることを提案しています。
年金、60億ユーロ未満の削減
政府の節約案の一つとして、来年は年金支給額の据え置き、物価指数変動に基づいた増額をしないこと、さらに、所得税に現役世代と同じ10%の基礎控除がありましたが、これを廃止することが提案されています。
フランスの年金支給額は、2003年以降物価指数の変動に連動する、物価スライド制がとられており、毎年見直されています。その結果、インフレにより財政負担が大幅に増える一方となっています。このままいくと、2027年は今年より60億ユーロの財源が必要となります。
これについて、ダヴィッド・アミエル(David Amiel)公会計担当大臣は、来年の増額分は「1ユーロもない」と危機感を表しています。
年金額の物価スライド制を廃止する場合、どの頻度で金額を調整するかなどは国民議会での審議に持ち込まれると、ルコルニュ首相は述べています。
年金受給額で区別はありなのか?
年金生活者も物価高で購買力が低下しており、特に2,000ユーロ(約361,000円)未満の低所得者とそれ以上の高額受給者について、レートを区別することも提案されています。
実際2020年には、2,000ユーロ以下の受給者は1%、それ以上は0.3%の引き上げとなりました。
フランス厚生省の調査機関(DREES)の担当者は、問題は「そもそもほとんどの年金受給者の年金額は2,000ユーロ以下」と指摘しています。
税引き前年金額が2,500ユーロ(約452,000円)の人は全体の約15%、3,000ユーロ(約542,000円)以上となるとわずか8%になります。
ちなみに同機関によると、フランスの年金受給者数は約1720万人、2025年の支給総額は4,220億ユーロ(約76兆3201億円)でした。
住宅補助、支給額を凍結か?
生活保護(RSA)や家族手当など、家族手当金庫(CAF)が支給する補助金の中で、学生や低所得層を対象にした「APL(Aide Personnalisée au Logement)」と呼ばれる、個人向け住宅補助金の額の据え置きが案として浮上しています。
外国人への支給開始に制限を
これらの手当や補助金を受給する権利は、合法的にフランスに居住している外国人も、フランス人同様になんの制限もなく与えられています。失業保険や年金といった「労働により得た権利」ではないこれらの補助の支給に関し、受給権利の空白期間を設けることが検討されています。
ルコルニュ首相は、「フランス人が海外で同様の権利を一定期間得られていない」と説明しています。
ちなみに住宅補助金は、今年すでにEU圏以外の国の学生への支給が廃止されています。
公務員の来年の昇給凍結
首相によると、地方公務員も含めた公務員の2027年の昇給を凍結することで、20億ユーロ(約3兆6,174億円)の費用削減ができます。特に、地方自治体がインフレ上昇率以上に経費を使うことはできないとしたうえで、組合との協議を進めていきます。「ただし、給与が最も低い層に配慮する」としています。
フランスの急務である赤字削減、今後の国会審議も大荒れが予想されます。また、ストライキやデモなどが今後増えていく可能性があり、今後の動向が注目されます。
出典:FranceInfo
執筆:マダム・カトウ











