2026年8月4日(火)、南西フランス、ジロンド県(Gironde)では先月末に1週間以上続いた森林火災は消化活動によりおさまり、避難した住民のほとんどが帰宅しています。アルカション(Arcachon)やカップ・フェレ(Cap Ferret)といった夏にバカンス客でにぎわうビーチリゾートで知られるこの地域では、繁忙期の被災で観光業が大打撃を受けています。被害に遭わなかったホテルやキャンプ場、レストランやカフェ、個人商店などが、残った8月のシーズンを何とかしようと「早く戻ってきて」と訴えている様子を地元メディアが取材しています。
「ジロンド県を避けて」要請で観光客減、観光業に打撃
ジロンド県はヌーベル=アキテーヌ地方(Nouvelle-Aquitaine)に位置し、県庁所在地はボルドー(Bordeaux)です。今回の森林火災の被害に遭ったのは主に西の海岸部で、ボルドー市を含めた多くの地域は被害にあっていません。
7月末の火災発生後、消火活動は難航し、県道、高速道路の一部が通行止めになるなどの交通規制が敷かれました。また、ボルドーからスペイン方面行の列車が運休(8月1日より復旧)していたことから、消防及び政府はフランス南西部やスペインへ行くバカンス客に「ジロンド県をなるべく避けて通る」よう呼び掛けていました。
そのため、夏のバカンスピークシーズンの7月後半から8月の予約は次々とキャンセルされました。
店は残ったものの、「遺失利益」は保険対象外
森林火災で松林が広範囲で消失したアルカションのビーチにあるホテル兼レストラン「バー・ドゥ・ソレイユ」(Bar du soleil)も、この観光地にある他の多くの同業者と同じく、売り上げの大部分を夏のバカンスシーズンに稼ぎ出しています。オーナーのアニー(Annie)さんは「日曜と月曜は、普段の60%~70%しか席が埋まっていない」と嘆いています。
数日前から徐々に客が来ているものの、失われた今シーズンの売り上げを取り戻すことは不可能とみています。
物理的な被害を免れたレストランやホテルなどは、保険の適用外となり、営業不能により本来あるはずだった利益に対する保証がありません。
タラソテラピーを提供するスパ&ホテル、「タラずール・アルカション」(Thalazur Arcachon)は、7月最終週の1週間だけで370件、8月中の予約は480件がキャンセルされ、本来なら満室になっているはずの214の客室は40%しか埋まっていません。
地元の商店や観光業「早く戻ってきて」
つい3日前まで、政府報道官も県知事も「(バカンスには)ほかの行先を選んでください」と発言していました。
確かに火種がまだ100%と消火されていなかったため、消火活動の妨げになることと、なによりも、人が来るとその中に放火魔が紛れ込んでいる可能性があるため、公にはこういった声明が出されていました。
「とにかく人が来なければ死んでしまう」という、マルシェで洋服を売るサブリナ(Sabrina)さんは「もう焦げた匂いもしないし、お客さんを待っています」と窮状を訴えています。
先述のアニーさんは、「来るな来るな、というからアルカションの町は空っぽになってしまった、今度は戻ってきてというメッセージをだしてほしい」と、述べています。
「被災地を見捨てないで」キャンペーンを
ホテル・レストラン業界連盟ジロンド県会長のフランク・ショメス(Franck Chaumès)氏は、出演したテレビ番組で「県内のすべての観光局や自治体の観光案内所は、バカンス客に戻ってきてもらうための支援キャンペーンを行うべき」と発言しています。
世界的に有名なシェフで、ホテル・レストラン業界連盟の会長、ティエリー・マルクス(Thierry Marx)氏も出演したラジオ番組で「ジロンド県内には被害を免れた海岸がまだまだあり、散歩したり海水浴ができる」と述べ、被災地を支援する観光誘致を促しています。
アルカション、4年ぶり大規模森林火災 復興に懸念
アルカションの政府観光局長、デュジェニー(Frédérique Dugén)氏は、「火災があった一週間で失った予約は仕方がないですが、火災が終わった8月、そして今後のアルカションの地元経済への影響が最も懸念される」と述べています。
同氏曰く、今戻ってきているのは「支援」を兼ねてキャンセルした予約を再予約してくるといった人たちです。
復興を妨げるのは。今後バカンスの行先として敬遠されるといった、観光地としての価値を失うことです。
ジロンド県で観光業にかかわる人は約4万人、観光業は同県の県内総生産の7%にあたり、32億ユーロ(約5,814憶円/1ユーロ=約181円)の直接的経済効果があります。
出典:France Info
執筆:マダム・カトウ












