2025年9月19日(金)、フランス国立統計経済研究所(Institut National de la Statistique et des Études Économiques:インセ)は、2020年~24年の日ごとの出生数を発表しました。このデータを活用し、さらに受胎時期を特定しています。
フランスで最も多い出生日は7月20日
インセの発表によると、過去5年間平均で7月20日に生まれた赤ちゃんの数は2,210人、この日を含む全体の平均出生数2030人よりも9%も多いことが明らかになっています。
さらに、出産した女性の39%は39週間で、57%は39週以上40週より前に出産したという別のデータから、平均的な妊娠期間は264日と割り出されています。
この2つの統計を合わせると、フランスで最も受胎が多い日は10月29日だということがわかります。
では、なぜこの日が最も妊娠につながった日になったのでしょうか?
妊娠が多い日、そのワケは?
サッカーワールドカップに優勝した日でもなければ、満月の日でもありません。しかもハロウィーンには早すぎます。
インセはその理由として、10月末から11月初旬にかけての「学校の秋休み」(vacances de la Toussaint)をあげています。11月1日のカトリックの諸聖人の日前後、フランスの学校は2週間の休暇があります。
7月20日に次いで多い出生日は、5月中旬、7月後半、9月後半、11月中旬ですが、ここから割り出した受胎時期は、夏休みの真っ最中である8月中旬、先述の秋休み、クリスマス休暇(12月後半に2週間)、冬休み(2月に2週間)とやはり学校の休み期間中にあたります。
フランスでもっとも出生数が少ない日、12月25日
過去5年間におけるクリスマスの出生数は平均して1600人、全体平均の22%も少なくなっています。
その理由について、インセは、この日は祝日であり、しかも年間でカトリックにおけるもっとも重要な祝日であることから、帝王切開や誘発分娩といった計画分娩の数が大幅に少なくなっていることを挙げています。
年間で出産が最も多い日の上位10日のうち、7日は7月後半から8月中旬にあたります。残りの3日は9月後半ですが、この場合、12月後半のクリスマス休暇に妊娠したことになります。
これに関し、インセのレポートは、休暇中は旅行に行ったり、家族での集まりなどのイベントがあることから、避妊ピルを飲み忘れた、もしくは飲むのが遅すぎたといったうっかりミスが起こりやすいことを理由に挙げています。
妊娠時期を過去のデータと比較すると、1970〜80年代は春から夏にかけてだったものが、現在は夏から秋にかけてと時期がずれていることがわかります。
温暖化に慣れてきた?猛暑の年も出生数の激減なし
1975年~2010年の間、猛暑の夏の9か月後は出生数の低下が著しかったものの、2010年以降になると猛暑の年の出生数減少が緩やかになっています。
このことから、人々は温暖化に合わせた行動をとっていることがわかります。
執筆:マダム・カトウ