学校によりますが、フランスの幼稚園や小学校では定期的に遠足が企画されています。中学校や高校に入ると、研修旅行で近場のヨーロッパの国へ行くというのも珍しくありません。では、フランスの学校遠足は一体どのような様子なのでしょうか?行き先も内容も、日本とはいろいろ違いがあります。そこで今回は、フランスの学校遠足についてレポートします。
文化を大切にする国ならではの学校遠足とは?
フランスでは、学校の先生と子供たちが、大きな絵画の説明を学芸員から受けている様子をよく見かけます。フランスの美術館に行ったことある方なら、目にしたことがあるかもしれません。
小さいころから、本物の芸術に触れる機会があるフランスの子供たち羨ましいですね。以前、浮世絵コレクションの展示に行ったときも、地元の小学生たちが観賞に来ていました。
学校によって企画の内容は変わりますが、私の娘の中学生クラスは研修旅行でヴェネチア ビエンナーレ国際美術展に行っていました。遠足や課外授業に積極的な先生が担任になるとヴェネツィア研修などに行けますが、そうではない場合もありバラツキがあります。
フランスの学校遠足の定番は?
文化系に限らず、多くの学校が選ぶ定番の遠足として、乗馬体験、マリンスポーツ、山登り、スキー教室などがあります。学年全体で行くというよりも、クラス単位で企画し活動するという点がフランスの学校遠足の特徴です。
幼稚園・小学校の遠足は保護者の付き添いが必要
幼稚園、小学校の遠足や課外授業には、安全面からも保護者の付き添いが必要です。数名の父兄がいれば大丈夫なのですが、フランスでは祖父母が付き添いに参加することも珍しくありません。見ていると、祖父母が付き添いを楽しんでやっているのが伝わってきます。
私も何度か付き添いに参加したことがあります。道中で担任の先生とお話しをしたり、クラスの子どもたちの様子がわかるなど、思ったより楽しかった印象です。
遠足のお弁当とおやつは何を持っていく?
遠足といえば、お弁当とおやつが欠かせません。フランスの定番のお弁当はサンドイッチ!キッシュも人気です。サンドイッチは、バゲットより食パンで作ったサンドイッチが好まれるようで、中身はハム、チーズといたってシンプル。
また、日本ではあまりなじみのない、果物のコンポートも遠足のお供の常連です。コンポートとは、果物 (りんご、洋ナシ、桃など)を煮てピュレ状にしたものです。フランスの子供たちは、赤ちゃんの頃からこの味に親しんでいます。
持ち物リストに載っている定番おやつ
おやつは金額の上限は記されていませんが、当日の持ち物リストに定番で書かれているものがあります。それは…
un paquet de chips ポテトチップス1袋という意味です。
最初見たときは、びっくりしました。厳密にはポテトチップスでなく、他の塩系のスナック菓子でもいいのですが、子供たちは喜んでミニサイズのポテトチップスを持って行きます。
中学生になると、リストに「ポテトチップス小さい袋」と記されていることもあります。食べ盛りの子どもたちなので、大きい袋を持ってきてしまう場合があるからでしょう。
父兄と子どもが学校行事の資金集めに大活躍!
遠足などの行事は、学校が持つ予算と市の援助によって成り立っています。しかし、企画によっては予算不足ということも。そこで、資金集めに手作りクッキーの販売、チョコレートのカタログ販売、農家のチーズ販売など皆でアイデアを出し合って決めて実行していきます。
例えば…金曜の放課後、下校前に手作りケーキやクッキーのスタンドを臨時営業する、チョコレートの通販カタログをご近所さんや親戚に買ってもらう…などです。親だけでなく、子どもたちも一緒になって実現にむけて行動していきます。
「研修旅行の資金集め」という理由を説明すると、みな快く買ってくれることが多く、ありがたい気持ちになります。
まとめ
遠足や研修旅行は、フランスの子どもたちにとってもわくわくする行事のようで、普段の生活ではできない経験が得られます。新年度スタートが9月のフランスでは、遠足などの行事がおこなわれるのは5月ごろが一般的です。ピクニックの定番品がエチケット袋ではなく、ポテトチップス1袋というのがおもしろいですね。
執筆
YUKO