フランスの学校「休みが多すぎる」は本当か

2023.08.30

2023年8月30日(水)、あと数日で夏休みも終わり9月4日(月)から新学期を迎えるフランスでは、今年も学校の休みが長すぎるかどうか?が議論されています。

 

マクロン大統領、学校の夏休みが「長すぎる」発言

マクロン大統領は今年6月末、訪問先のマルセイユの学校で、フランスの「夏休みが長すぎることが子供の学力の格差を助長している」と発言、また今月23日には仏有力雑誌ル・ポワン紙(Le Point)のインタビューで「フランスの学校は休みが多すぎる」と発言しています。

学校教育における学習時間と休みのバランスについてはこれまでも再三議論されてきましたが、大統領の突然の問題定義に組合(SGEN-CFDT)は「議論は歓迎するものの、(組合との)事前協議の提案もないままの一方的な発言」だと、不快感をあらわにしています。

 

ヨーロッパ各国と比較すると?

欧州委員会(Commission européenne)が発表したところによると、フランスの学校の年間休暇日数の合計は欧州40カ国の中でも10本の指に入る長さです。

2022年9月から今年6月までの1年間で見ると、フランスは合計121日で7位、西ヨーロッパの中では5位ギリシャの123日、6位イタリアの122日についで多い日数です。

欧州40カ国のほとんどの国の学校が年間100日から120日の休みを導入しており、100日未満の国は5カ国になります。

学校の休みが最も少ないのはノルウェー、オランダ、デンマークの87日で、フランスに比べると実に34日も少なくなっています。

ただし、このランキングには、州や地域ごとに休みの日数が異なるドイツ、スイス、スペインが除外されているため、正確な順位とは言えませんが、フランスが上位に入っていることは間違いないでし

 

実は短い、フランスの夏休み

大統領の指摘に反して、フランスの夏休みは54日と欧州内では27位と少ない方に入ります。

夏休みが最も長いのはイタリアで、実に95日、12週間に及びます。夏休みが2ヶ月を切る国は、北欧、西ヨーロッパの国々で、フランス、ドイツ、スイス、オランダ、ノルウェー、デンマークの6カ国です。

 

夏休み以外の休み、フランスが1位

フランスでは、夏休み以外に秋休み、クリスマス休暇、冬休み、春休みと年4回の休みがあります。

もちろん欧州内の他の国々でもこれらの休みはありますが、フランスが特異なのは、それぞれの休みが2週間と他国に比べ非常に長く、ほぼ7週間学校に行くごとに2週間の休みが入ることです。

11月の諸聖人の日(Toussaint)を挟む秋休みは、毎年10月20日ごろからの2週間ですが、8月末に終わる夏休みと12月中旬からのクリスマス休暇の間に2週間もの休みを導入している国は、ドイツの一部の州、スコットランドとリヒテンシュタイン公国ぐらいと、欧州内でも少数派です。

秋休みが全くない国も11カ国あります。

新学期に入り、やっと勉強する習慣をつけたかと思うとまたすぐ休暇になると、子供の学習リズムが狂う、といった批判はこれまでもあり、今後どのような議論が展開されるか注目されます。

執筆:マダム・カトウ

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