2023年8月23日(水)、今夏のバカンスももうじき終わります。海外旅行に出かけたフランス人の評判は、いまひとつよろしくないようですが、外国語ができない、ケチ、文句ばかり、無作法などのレッテルに対し、仏有力紙フィガロ(Le Figaro)は反論しています。
フランス人は「ケチ」は本当か?
レストランでお勘定をするとき「チップは出すべきか?」、それともサービス料は「金額に含まれているはず」だからと、「表示料金だけ払って店を出るか?」、悩むところです。
国により商習慣が違うので、一概には言えませんが、どうもフランス人はこの点についてケチだと言われることが多いようです。
イギリスに本社を置くリサーチ会社Yougouvが、アメリカおよび欧州8カ国を対象に、レストラン、バー、タクシー、美容院などでチップを渡すかどうかの調査を行ったところ、もっとも「気前が良い」のはアメリカ人とドイツ人でした。
かといって、フランス人が最下位というわけではありません。
この結果を見ると、もっとも「ケチ」なのは、イタリア人、ついでデンマーク人ということになり、全体的に見てフランス人はランキングの真ん中あたりに位置しています。
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フランス人は「英語が下手」は本当か?
動画配信会社Netflixの人気シリーズの一つ、エミリー、パリへ行く(Emily in Paris)を見ればわかるように、フランス人の英語も捨てたものではないことがわかります。
確かにスウェーデン人やドイツ人にはかないませんが、フランス人の英語も確実に上達しています。
スウェーデン発祥、世界最大級の語学学校EF Education First社(本社スイス)のデータによると、コロナ禍前のフランス人の英語力の向上スピードは欧州内でも抜きんでていました。
コロナ禍でレベルアップにブレーキがかかったとしても、英語の動画コンテンツの視聴率の高さを考えれば、遅れはすぐに取り戻せると同校はみています。
英語が母国語のイギリス人、外国語は苦手
外国語=英語であれば、当然英語が母語の人には有利ですが、実は外国語の習得レベルが一番低いのはイギリスという調査結果が出ています。
「パンの味」だけは妥協できないフランス人
2022年にユネスコの無形世界遺産に指定された「バゲット(baguette)」とパン作りの職人技ですが、フランス人のパン作りにかける情熱は、他の国の人には理解できないものがあるようです。
フランス人にとって、バゲットを作るということはアートに近く、丹念にイースト菌と時間をかけて作り上げていくものなのです。
そのため、旅行先の外国でどうしてもパンの味に口うるさくなってしまうのです。
そんなフランス人ですが、好奇心が強く、海外旅行では行く先々での名産や珍味を味わうことが大好きです。
彼らが妥協を許さないのは、フランス料理やそれに類似するものを食べたときに限定されるようです。
フランス人が「文句ばかり」なのは「観察力が鋭い」から?
イギリスの国営放送BBCのとある記事の中に、フランス人にとって文句を言うことは「会話のきっかけ作り」に近いと書かれています。
フランス人は、自他共に認めるように「文句ばかり言う」癖があり、何にでも「意見を言う」性質があるようです。
これがまさに海外で嫌われる理由の一つですが、言い換えれば「議論好き」で「批判する眼」が肥えているのかもしれません。
海外旅行に行っては「フランスの方がいい」と比べるわけですが、同時に旅行先の「素晴らしい」ところを見せつけられて「フランスのここは最悪」と認めることも多々あり、他国の旅行者より「観察力が鋭い」と言うこともできるでしょう。
フランス人はいつも定時に食事を取りたがる?
フランス人とガストロノミー(美食)は切ってきれないものがありますが、どうもいつも同じ時間に食事を取りたがる習性があるようです。つまり昼なら12時半になると食事を取らなくてはならない、というわけです。
また2018年、OECD(経済協力開発機構)の発表したところによると、フランス人は1日平均2時間以上を食事に費やしています。これはアメリカ人の倍以上にあたります。
ただ、フランスでも昼からフルコースを食べる習慣はなくなりつつあり、だんだん食事時間は短くなってきています。
フランス人、フランスが一番?
地中海にアルプス、大西洋にピレネー山脈、美食と美味しいお酒、わざわざ海外に行かなくてもフランスには十分に休暇を楽しめる観光資源が揃っています。
そのため海外から訪れる観光客は後をたたないため、フランス人は自国の素晴らしさを鼻にかける傾向があるようです。じゃあ海外旅行しないかというと、有給休暇が5週間もあるフランスは、欧州内でもっとも海外旅行をする国の一つでもあります。
なので、旅行先でフランス人に出くわすことは多々あり、特に美術館で出会うこと請け合いです。
フランス人は赤信号を守らない?
2017年に行われた調査で、ストラスブール(Strasbourg)と名古屋の交差点の歩行者の行動を観察したところ、フランスでは約半数の人が赤信号でも横断歩道を渡りました。一方日本ではわずか2%の人しか信号無視をしていません。
「人の目を気にせず、自由を謳歌する」のはフランス人の魅力、でしょうか?
執筆:マダム・カトウ